『密談2』ロベグリ前提 ロベリア&花火(黒)(10/03月作成)

並んでレナードの店のカウンター席に座る2人。
ロベリアはともかく花火はこの場には珍しいタイプで、少しだけ目立っているように見える。
が、そこに座る姿は妙に堂に入っていて、それは花火の底の深さを思わせた。
何よりあのロベリアと対等に話していることから、下手に揶揄しない方が良いと判断したのか、誰も彼女たちに話し掛ける猛者はいなかった。
「なぁ、花火」
グラスを傾けながら、ロベリアが言う。
「何ですか?」
「アンタはさ、グリシーヌのことをどう思う?」
ロベリアのその質問に特に過剰に反応することなく花火がしれっと答える。
「妬きもちなら、お門違いですよ?」
花火のその言葉に舌打ちをするロベリア。
そして。
「これだから、アンタは食えないんだ」
「外れてましたか?」
逆にそう問う花火に苦笑する。
「いや。殆ど当たりだ」
「殆ど、ですか?」
少しの他意が含まれているらしいロベリアの答えに意外そうな顔で花火が聞き返す。
「ああ」
頷いた後、ブランデーに口を付けるロベリア。
ロベリアの言葉を静かに待つ花火。
ロベリアは花火のそういう間が嫌いではなかった。
寧ろ、心地好く居られると思う。
「…アイツがやたらとアンタのことを引き合いに出すのが面白くない」
ポツリと言うロベリア。
「寄宿舎の頃からの付き合いですから、そういうところもあるかもしれませんね」
決してそれを否定しない花火。
そういうところも、かえって解りやすくて付き合いやすいのだ。
「いちいちアンタと比べられている方の身になってみろ?いい加減うんざりだぜ」
そう吐き捨てるように言ったロベリアに花火が言う。
「そう仰ってみては?」
「そんな事を言った日には、アンタを侮辱するのかとか何とか言って煩いだけだ」
どうやらそれも既に実証済みらしいロベリアが、その時を思い出したのか眉間に皺を寄せる。
「では、逆にロベリアさんが私を引き合いに出してみるのはいかがでしょう?」
「はぁ?」
予想外の花火の提案に思わず素っ頓狂な声を上げるロベリア。
「そうですねぇ。例えば、」
そう前置きを付けると、カウンターに置かれたロベリアの手に自分の手を重ねる花火。
「ちょ…、ちょっと待てって」
ロベリアにしては珍しく動揺した様子で花火を制する。
「はい」
それにいつものアルカイック・スマイルで応えて手を元の位置に戻す花火。
「まったく、アンタの方がよっぽど悪いよ」
脱帽した様に両手を上げてロベリアが言った。
「そうですか?」
「ああ。それに、アイツの場合は冗談じゃ済まないだろうが」
「その後はロベリアさん次第では?」
「簡単に言ってくれるじゃないか」
花火の言葉にグラスを傾け氷をカランと鳴らした後、口角を上げて。
「そうですか?」
例の微笑みのまま花火が言う。
「いや、アンタの言う通りだよ」
不思議と嬉しそうな表情のロベリア。
まるで、新しい悪だくみを思いついた時のようだ。
「そうですか」
相変わらず、ただそれだけ笑顔で答える花火。
それ以外、余計に付け加えないのがとても彼女らしい。
そういうところもとても気に入っている。
「今夜はとことん付き合って貰うぜ、花火?」
先ほどまでの鬱憤が晴れたのか機嫌良さそうにグラスを掲げるロベリア。
「私で宜しければ喜んで」
小さく控えめにロベリアに倣ってグラスを掲げる花火。
そして、グラスを合わせる二人。
悪友とはこういう関係のことを言うのかも知れない。

~あとがき~

ええと。
私の中でロベと花火さんはこういう関係というか。
うっかりロベ花(花火襲い受け)になりそうになって、慌てて軌道修正したとかは内緒です(笑
もとい。
ロベリアがグリの事を愚痴るのは花火さんかなぁと。
それにしても。
黒花火、書き易くて好きだなぁ(爆

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