サクラ大戦V 5th Anniversary!!
紐育。
タイムズ・スクエア。
リトルリップシアター、屋上庭園。
何やら賑やか様子で、ああでもないこうでもないと皆で騒いでいる。
テーブルの上には星の形に切り抜かれた色とりどりの紙。
星の天辺には小さな穴が開けられていて、糸が通せるようになっている。
「で。こいつに願い事を書いてササに飾るのか?」
ハサミをテーブルの上に置くと、サジータが新次郎に聞いた。
「そうです」
頷く新次郎。
新次郎の後ろには王に頼んで用意して貰った笹が立てられている。
クリスマスの飾りでも引っ張り出してきたのか、何やら煌びやかに飾り付けられている笹を見て苦笑する新次郎。
本日は7月6日。
皆で、七夕の準備に勤しんでいる。
─それは、一ヶ月程前「来月は七夕なんですねぇ」と新次郎が呟いたことに端を発する。
それを聞き逃さなかったジェミニが「新次郎、”タナバタ”って何?」となり。
”七夕”の習慣を皆に簡単に説明すると、「それは楽しそうだやってみよう」ということになったという訳だ。
「一年に一度、星に願いをかけるなんてロマンチックですよね」
ウットリとしながらダイアナが言った。
「しかも、一年に一度のデートなんだよ?ボク、憧れちゃうなぁ!」
同じようにウットリとしながら、思いをどこかに馳せるジェミニ。
どうやら、七夕伝説のことを言っているらしい。
すっかり、自分の世界に入ってしまったようだ。
「本来、七夕の短冊は五色であるべきなんだけどね。それにこのように切り抜くものではない」
昴が苦笑しながら、テーブルの上を見た。
テーブルの上には五色以上の紙が散りばめられている。
「でも、これも綺麗ですよね」
同じように苦笑した後、新次郎が言って昴が頷いた。
「…まぁね」
「なぁなぁ、しんじろう!ねがいごとって1こじゃないとダメなのか?」
ペンを手に悩んだ様子のリカが新次郎に問う。
「リカの好きなだけ書くと良いと思うよ」
その可愛らしい様子に笑顔で答える新次郎。
「ほんとうか?!ほしはふとっぱらだな!」
嬉しそうに自分の前に短冊をたくさん並べるリカ。
「願い事、ねぇ。どうするかな」
同じように短冊と向き合いペンをクルクルと回しながら、悩んだ様子のサジータ。
「そういうのってガキの頃はたくさんあったけどさ。大人になっちまうと、思わず考えちまうよな」
「現実的になってしまいますからね」
ダイアナが短冊を見つめながら言った。
「だよなぁ」
「─それを叶える為に大人になるんだろう」
それに答えたのは昴。
思わず、顔を見合わせるサジータとダイアナ。
「…何だい?」
その様な顔をされるのは心外だと言わんばかりの昴。
「いや、悪い。まさか、アンタの口からそんな答えを聞けると思っていなかったからさ」
「…僕は当たり前のことを言っただけだ」
憮然と昴が言った。
「そうですよね。昴さんの仰る通りですよね。子どもの頃の夢を現実にする為に大人になるのですよね」
「昴は言った。一つ叶えても、また次の願いが顕れる。それの繰り返しなんだと」
「願いは尽きることはない、か」
「…そういうことだ」
「本当は願いに気付いてないだけなのかもしれないですね」
ハァとため息を吐くダイアナ。
サジータも同じようにため息を吐いて、ますます考え込むのだった。
「ね、新次郎は何てお願いするの?」
いつの間にか妄想から戻って来たのか、ジェミニが新次郎に問う。
「ぼく?ぼくは決まってるんだ」
えへへと笑う新次郎に思わず聞き耳を立てる一同。
「新次郎の事だから、”平和でありますように”とか?」
「はは。それに近いよ」
「じゃあ、”舞台が成功しますように”とか?」
「それも含めて、かな」
「もう、分からないよー」
思わせ振りだとも取れる新次郎に、不服そうにジェミニが頬を膨らませた。
「じゃあじゃあ、”うまいごはんをたくさんたべられるように”とかか?」
面白そうだとリカも参戦して。
「それはリカの願い事じゃないか。でも、それも入ってるよ」
「わけわからないぞ、しんじろう」
「そうかなぁ。そんなに難しくないつもりなんだけど」
「隠すと良いこと無いよ、新次郎」
「勿体ぶるなんて大河さんらしくないですよ」
そうジーッと新次郎を見るサジータとダイアナ。
「わひゃあっ。勿体ぶってなんていませんよーー」
眉を八の字にして、困惑した様子の新次郎。
そんな新次郎を思案顔で見る昴。
どうやら、新次郎の願い事が何なのか気付いているようだ。
「ぼくは、皆さんとまた来年もこんな風に過ごしたいと思ったんですよーーー!!」
詰め寄られてとうとう観念して。
そんな新次郎を見つめた後。
「なぁんだ」と、再び自分の短冊と向き合う一同。
悩んでいたのは何処へやら。
サラサラと短冊に願いを書き、笹に吊す。
「もう、皆さん酷いですよ…」
皆に続いて、傷心の新次郎も短冊を吊して。
皆で空を見上げる。
「ボクたちの願い、空に届くと良いね!」
「きっと届くさ」
「おう!とどくとどくー!」
「ええ。大丈夫ですよ」
「…心配するだけ無駄だ」
一瞬の風が笹を揺らし、短冊がなびいて。
皆の願い事を空へと届けるように揺らす。
『─また来年も皆と笑顔でいられますように』
Congratulations on the 5th anniversary!!
~あとがき~
サクラV発売5周年記念SSでした。
紐育はラチェットさんと昴さんばかり書いてるので、スターファイブ仕様にしてみました( ̄∇ ̄;
スターファイブも仲良くて可愛くて大好きです!!
ラチェットと昴以外のカプ話もいつか書ければいいなぁ。