「それで盲目過ぎる件」ロベグリ 88888打リク(10/06月作成)


『もう良い!』
『ああ、そうかよ!』
いつものように売り言葉に買い言葉。
いつものように言い合いになって。
いつものように別れた。
いつもと違うのは、その後グリシーヌに取り付くしまがないという事だ。
─ロベリアは花火の部屋の畳に寝そべりながら、吐き捨てるように言った。
「…何でこうなっちまうんだか」
急須に茶葉を入れながら、花火が答える。
「…いつもの事では?」
そう言われて苦笑するロベリア。
「まぁね」
「お互いに素直じゃないですからねぇ」
「アタシとアイツが素直だったら、気持ち悪いだろうが」
「時と場合によるのではないでしょうか」
「ああん?」
大抵はグレーゾーンで物を言う花火にしては珍しい明確な指摘に思わず聞き返すロベリア。
「お気に障ったのでしたら、失礼致しました。でも、今回はグリシーヌに来た”良いお話”が原因なのですよね」
そんなロベリアに臆する事もなく、笑顔で返す花火。
全く、肝が据わっていると思う。
「…知ってたのか。で、結局はアンタもアイツの味方ってことか」
「私はロベリアさんもグリシーヌも好きですよ。─それに、ロベリアさんはどう収めたら良いか既に分かってらっしゃるのでしょう?」
花火のその言葉に、口角を上げるロベリア。
「だから、アンタは嫌いじゃないんだ」
「ありがとうございます」
例の古拙の微笑(アルカイック・スマイル)でそれに応える花火。
「それを解ってて、アタシに言った訳か?」
ロベリアのその問いにただ笑みで返す花火。
「ジョーカーは最後まで使わないから、ジョーカーなんだぜ?」
「それは使わないで済んだ場合のお話、では?」
沈黙のまま、見つめ合う二人。
暫くして。
低い声で笑った後。
ロベリアが立ち上がって言う。
「…野暮用を思い出したんでね。もう行く事にするよ。邪魔して悪かったな」
「いいえ。お気を付けて」
そう笑顔で送り出した花火にひらひらと軽く手を挙げると、ロベリアは来た時と同じように窓から出て行った─。

『もう良い!』
『ああ、そうかよ!』
いつものように売り言葉に買い言葉。
いつものように言い合いになって。
いつものように別れた。
いつもと違うのは、その後ロベリアが何も言って来ないという事だ。
─グリシーヌは、ため息を吐きながら独り言ちた。
「…どうしてこうなってしまうのだ」
「─さぁ、どうしてだろうな」
その独り言に応える聞き慣れた声。
その人物が入って来た窓から風が吹き込み、グリシーヌの元に甘い薔薇の薫りを運ぶ。
たった数日、口をきかなかっただけなのにその薫りをとても懐かしく感じる。
「…自分の非礼を詫びに来たのか?」
そんな事を言いたい訳ではないのに、そんな言葉しか出て来ない。
本当に可愛くなれないと思う。
「まぁね」
ところが、それをあっさり肯定するロベリア。
「ほぅ。そなたも丸くなったものだな」
そんな事ばかり口をついて出て、グリシーヌは思わず膝の上に置いた拳をギュッと握った。
こんな自分はいつ愛想を尽かされてもおかしくはないのかもしれない。
「アタシもそう思うよ」
ロベリアはそう言うと、グリシーヌの傍らまで歩を進め固く握られたその手に自分の手を重ねた。
「…アタシはアンタのものだ。それで満足しろよ」
突然のロベリアの告白に少し呆けた後、呟くようにグリシーヌが答える。
「……勝手な事ばかり言いおって」
「他人の事言えないだろうが」
「…初めから断るつもりだったのだ」
自分の手に置かれたロベリアの手を見つめながらグリシーヌが言った。
「それをそなたが、」
そう言ったところで。
声を詰まらせるグリシーヌ。
ロベリアの腕を引き寄せ、その胸に俯くようにコツンと頭を預ける。
「…まったく、どうしようもないな。アンタは」
呆れたような口調でロベリアが言った。
「言われなくとも解っておる…」
吐き捨てるようにそう言ったグリシーヌの頭を撫でながら、ロベリアが言う。
「どうしようもなく可愛いやつだよ」
「その様な事を申すのはそなただけだ」
「充分だろう?」
「まったく、物好きだな」
自信に満ちた顔で言ったロベリアに呆れつつも、曇っていたグリシーヌの表情がようやく笑顔に変わる。
「その言葉、そっくりそのままアンタに返すよ」
「私も他人の事は言えぬか」
苦笑しながらも、どこか嬉しそうにグリシーヌが言った。
「ちょうど良いじゃないか。物好き同士で」
「…そうだな」
─そして。
見つめ合って、キスを交わした後。
グリシーヌがロベリアに耳打ちする。
「─そなたは、私のものなのだからな?絶対に離さぬぞ?」
言ってから。
一気に赤面したのだった─。

畳の上で熱い日本茶を啜りながら、花火が独り言ちる。
「馬に蹴られるのは御免ですからね」
そう、いつものように微笑んで窓の外を見つめた。
その言葉の真意は彼女しか知らない─。

~あとがき~

88888打キリリク、お題はロベグリで「ロベリアがものすごくグリシーヌを大切に思っている」でした。
カプ定番話で、すみません。
でも、グリって本編でもそうですがそういう話が日常茶飯事だと思うので( ̄∇ ̄;
大抵は皆に知られる前に処理していると思いますが、たまには止めて欲しいとか思っちゃう訳ですよ。
そんな乙女心をね!(笑
と、いうか。
ただいちゃついて終わった気がしないでもない…orz
えー、花火さんはお好きなカプでどうぞ(爆

ポタシウムさま、ありがとうございました!!
楽しかったです(>◇<)

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