『約束は何度でも。』大神×織姫「跳んでる花組」ネタ(10/02月作成)


『コンコン』
支配人室のドアをノックする音。
「はい」
返事をしたものの反応がない。
『コンコン』
再びのノック音。
「開いてますよ」
そう返したが、やはり何の反応もない。
それどころか。
『コンコン』
三度目のノック音。
「?何なんだ?」
不可解なそれに、立ち上がってドアの前に立つ。
そして、ドアノブに手を掛けた瞬間。
急にドアが開いてドアの向こうの人物が飛び込んで来る。
尻餅をつきながらも、思わず抱き留める格好になった大神。
腕の中の見ると、そこには。
「織姫くん?!」
嬉しそうに大神の首に腕を回して抱きついてから、織姫が言う。
「お久し振りでーす!」
「…………」
ところが、大神といったら呆然としていて。
「どうしたでーすか?あまりに嬉しくて声も出ないとかー?」
そう大神の顔を覗き込む織姫。
「…そうなのかもしれない…」
まだ夢現な様子の大神。
「ふふーん。中尉さんらしくないでーすね!何ボーっとしてるですか?」
「あ、いや、すまない。ちょっと、混乱してて…。ああ、でも」
少し落ち着いてきたのか織姫を見つめて、大神が言う。
「おかえり、織姫くん」
「ただいまでーす!」
再び大神に抱きつく織姫。
「いつ着いたんだい?報せてくれれば迎えに行ったのに」
「さっきでーす。突然、帰って来た方が中尉さんが驚くと思ったでーす!」
「はは。まぁね」
先ほどまでの自分を思い出して苦笑する大神。
そんな大神を見つめた後、その胸に額を付けて織姫がポツリと言う。
「…心配したですよ?」
「うん?」
「アイリスの声が聞こえて来たと思ったら、チェリーさんの霊力が急に小さくなっていって…」
「ああ…。織姫くんたちの力がなかったら、さくらくんがどうなっていたことか…」
険しい表情で大神が返す。
「中尉さんも危なかったと後でレニから聞きました」
「さくらくんに比べたら俺の怪我なんかかすり傷さ」
「そういう問題じゃないでーす!」
大神を睨みつけた後、再び俯いて。
「…とても怖かったです。怖くて、怖くて、震えが止まらなくて、眠れなくて…。会うまでは安心出来なかったんですよ?」
声を震わせながらそう言った織姫の肩を抱き締めて、大神が言う。
「…ごめん。でも、俺は勝手に織姫くんの前から居なくなったりしないよ?」
「…当たり前でーす!」
そう言ってから、顔を上げる織姫。
その目には涙が溢れている。
「わたしが生きている限り、勝手に居なくなったりなんてしたら許しませーん!」
「うん。解ってる」
織姫の涙を指で拭いながら、頷く。
「危ないことがある度に、何度でも約束させますよ?」
「何度でも約束するよ。俺は織姫くんの前から勝手に居なくなったりしない」
その言葉を聞いてようやく安心したのか、織姫から笑みが零れる。
「改めて、おかえり。織姫くん」
「ふふ。ただいまでーす!」
少し背伸びをして、大神の頬にキスをして。
見つめ合って、微笑んで。
そんな二人を包む空気は暖かくて。
外も小春日和で快晴で。
きっと春はもう直ぐ其処に来ているに違いない。

~あとがき~

今更なネタだけど、ずっと書きたかった話です。
姫があの場に居ないことを意味のあることにしたかったというか。
何よりも。
久し振りに姫が書けて嬉しかったです(*’ ‘*)

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