えも言われぬとはこういう事を言うんだろうなと大神は息を呑んだ。
それほど目の前にいる女性は美しい。
洋装での婚礼衣装の広告に花組をぜひと請われ、本日がその写真撮影の日であった。
帝劇二階のホールを使用しての撮影を見学しながら、気が付けば見とれていた。
「…隊長?」
自分の分の撮影を終えて後方に戻って来くると、マリアは表情の硬い大神を不安げに見つめた。
「ごめん。あまりにもマリアに似合っていて見とれてしまったんだ。これを皆に見せるのは勿体ないね…」
本気でそう思えて、思わずそう吐露した大神にマリアの頬が紅く色づく。
「な、何を仰ってるんです!き、着替えて来ます!」
「うん。もう少し俺の目に焼き付けたらね」
周りに気付かれぬよう、そっとその指先に口づけると動揺するマリアを余所に大神はマリアの姿に目を細めたのだった。