「…出来るなら苦労はしない」
そう独り言ちるとサニーサイドはラチェットの載ったゴシップ紙をゴミ箱に放った。
よくあるスキャンダル報道。
だが、相手は自分ではない。
仕事の打ち合わせで食事を共にしたところを撮られたらしい。
でっちあげだと判ってはいても他の男との浮いた話は面白くないものだ。
「つい閉じ込めてしまいたくなるね…」
そんな事まで考えてしまう自分に苦笑する。
「魅力的過ぎるのも問題だ」
だが、自分のみが知る彼女の魅力も当然あるだろう。
「…やれやれ。ヤキモチなんて僕もつまらない男になったもんだ」
頭を振ると帽子とコートを手に取って。
「まずは抱きしめにいかないとね」
きっと合わせる顔がなくて困惑しているであろうラチェットの顔を思い浮かべると、サニーサイドは支配人室を後にした。