窓辺に佇んでグラスを傾けワインを喉に流し込む。
いつ来ても上等過ぎるワインが用意してあるのは流石だ。
情事後の一睡の後に先にベッドから起き出してこの上等なワインを楽しみながら窓の外に目を遣り、濃紺の空に浮かぶ月を眺めるのが気が付けば習慣となっていた。
この窓からの空もすっかり見慣れてしまった。
(いつまでここからの月を見られるんだか…)
そんな思いを打ち消すようにフンと鼻で笑ってグラスに口を付ける。
(馬鹿馬鹿しい。アタシらしくもないね)
窓の外から目線をベッドに移し、横たわってまだ微睡みの中に居る美しいその人を見つめる。
(すっかりアンタの虜だよ。責任取れよな…)
グラスをサイドテーブルに置くとロベリアは目を細めて、シーツに流れる美しい金髪を自らの指に絡め取りキスを落とした。
「…アタシにこれ程までに愛を語らせるのはアンタくらいなんだ。(アタシがこんなに自信がないのもね)アンタが自惚れるまで幾らでもアタシをやるからアタシを食らい尽くせよ」
そう独り言ちて一瞬表情を崩してから、ロベリアはベッドに手をついてグリシーヌの唇に自らの唇を重ねると、囁いた。
「…起きているんだろう?」
「!」
ロベリアの言葉にグリシーヌの躰がピクと動く。
「聞いてた通りだ。アタシをやるよ。…存分にね」
噛みつく様に口づけると再びベッドに身を沈めた─。