躰が熱い。
体温だけではない。
躰の奥から込み上げるこの熱は何なのだろうか。
自然と溢れて来る涙は熱によるものだろう。
「…どうした?随分な顔をしているじゃないか」
少々、熱を持ったグリシーヌの頬を撫でロベリアが言った。
「私が、どの様な顔をしている…と?」
乱れる息を整えるグリシーヌ。
「それはアンタが一番解っているんじゃないか?」
目を細めグリシーヌの表情を眺めると口角を上げるロベリア。
「…知らぬ」
羞恥心から顔を背けるグリシーヌの鎖骨をなぞってから、熱の隠った声でロベリアが囁く。
「…知らない訳がないだろう?アタシが誘われるのはアンタだけだってのに」
「…っ…」
ロベリアのその声にグリシーヌの耳が紅くなる。
「…あ、熱いのだ…何故だか知らぬが…。…だから、自分がどの様な顔をしているか判らぬ…」
俯き、呟く様にグリシーヌが言う。
「いいぜ。アタシが教えてやるよ。…アタシを欲しくて堪らないって顔だ、そいつは。で、アタシもアンタを欲しくなった。十中八九、アンタの所為だな。そそられて喉が渇いちまった。どうしてくれるんだ?なぁ」
「そ、それは私の台詞だ。そなたに抱き締められただけだというのに熱くなって…っ…!?」
言ってからハッと口を噤むグリシーヌ。
「…アンタの熱いとこに触れてもいないのに熱くなってアタシを欲しがって」
「う、うるさい…っ」
「いいじゃないか。もっと言わせろよ」
揶揄してからグリシーヌの顔を覗き込んで唇を重ねるロベリア。
「…そなたの所為だ」
口づけに恍惚としながらグリシーヌがぽつりと言う。
「ああ。アタシの所為だな。アンタにアタシを刻みつけてやった。だから、もっとアタシを欲しがれよ。…アタシだけを欲しがれ。アンタの熱を上げるのも解放してやれるのもアタシだけだ。…違うか?」
ロベリアの問いに静かに頷くグリシーヌ。
それを見て満足そうに口角を上げると、ロベリアはグリシーヌの額に唇を寄せた。
「それで良い。アンタの中にもっとアタシを刻んでやる」
そして、指で唇に触れた。