其処に。
そっと唇を寄せて皮膚を強く吸った。
唇を離して其処についた紅い其れに指で触れると、眠っている昌平の躰がピクリと動いた。
起こしてしまったかと固唾を飲んでじっとしていると、再び寝息が聞こえてきて思わず安堵の息を漏らす。
何故、その行為に及んだのかは自分でもよく解っていない。
「僕は何をしたはるんやろね…」
吐き捨てる様に呟いて自らに失笑する世海。
この赤い花が消えるまでは自分の物だとでも思いたいのだろうか…。
「…ありえへんやろ?こんなの…」
朝起きてこれに気付いた時、昌平はどう思うのだろうか。
ただの悪戯だと思ってくれるだろうか、それとも怒るだろうか。
その瞬間の事を考えるだけで心臓が早鐘を打ち始める。
後悔した処でその痕は消える訳もなく現実を世海に突き付ける。
「…こないに執着するなんて思わおへんどしたんや…」
込み上げる嗚咽を堪えて自分のベッドへと戻り自らの両肩を抱いて横になる。
「…僕と相部屋で堪忍え…」
消え入る様な声で、言った。