「……」
何やら物言いたげな視線を送るグリシーヌにロベリアが問う。
「何だよ?言いたい事があるなら言いな」
「…もうすぐ」
ロベリアに言われ話し始めたものの直ぐに口を噤んで俯いてしまう。
「へぇ…アタシに言えない様な事なのか?」
「ち、違う!」
目を細めて言ったロベリアに顔を上げ否定して。
その否定する様子に一笑するとロベリアはグリシーヌを後ろから抱き締めた。
「…ノエルの夜ならもう予定は入ってるぜ?」
「!そ、そうか…」
ロベリアのその言葉に平静を装っているが明らかに落胆した表情でグリシーヌが頷いた。
「…アンタもそうだろう?」
先にそう言われてしまっては頷くよりない。
「あ、ああ。そうだな…」
沈んだ声で返したグリシーヌに込み上げる笑いを堪えきれないのかロベリアから笑いが漏れた。
「くくっ、そんなにガッカリしたのか?」
「う、うるさいっ…」
「素直なアンタに1つ教えてやるよ」
そう言うと、グリシーヌの髪を自らの指に絡めキスを落とすとロベリアが言った。
「…アタシのノエルの予定はとっくにアンタに預けてあるんだぜ?」
「!」
熱の隠ったロベリアの思い掛けない言葉にグリシーヌの目から落胆の色が消える。
「…で。アンタの言いたい事は何だって?」
再びそう問うたロベリアの手に自分の手を重ね頬を染めて。
「…もう良いのだ」
嬉しそうな微笑みを湛えた。