大きく溜息を吐いて項垂れた新次郎の肩を苦笑しながら昴がポンと叩く。
「…気にする事はない、偶然だろう」
昴のその言葉に顔を上げ新次郎が眉根を下げて訴える様に返す。
「…偶然ですか?今回も?」
「…ああ」
「この前もそう仰いましたよね、昴さん」
新次郎のその反論に扇子を開いて口元を隠す昴。
「では、君はサニーサイドに全て漏れていると言うのかい?」
逆に昴にそう問われて自らの髪をくしゃと掻きながら新次郎が頭を垂れる。
「そうですよね…。サニーさんならとは思いますけど、そう思いたくはないですね」
「そもそも、サニーサイドにとって有益な情報ではない筈だが?」
「ですよね…」
「じゃあ、ますます判らないじゃないですか。どうして、サニーさんは僕と昴さんがデートしている時に限って、わざわざキャメラトロンに通信してくるんでしょう…」
「…それは昴も疑問に感じている。だが、気にする事ではない。…君は目の前にいる昴よりサニーサイドの通信を気にするのかい?」
新次郎の頬を指で撫でて口角を上げた昴のその表情に見とれながら、新次郎が首を振る。
「…すみません。折角の昴さんとのデートなのに…」
「まだ時間はある。…後は僕の事だけ考えろ」
「はい」
昴の腰に手を回して抱き締めると新次郎は顔を近付けた。
(「…後でラチェットに灸を据えて貰うとしよう…」)