ロ花

 差し出された手に触れて指先に唇を寄せる。
 ただそれだけで欲情を掻き立てられるのは何故なのだろう。
 「…花火、アンタは本当にあたしを誘うよな…」
 半ば自嘲気味吐き捨てる様にそう言ってやったら、首を傾げていつもの微笑を浮かべられて。
 「…誘われてしまうロベリアさんもロベリアさんですね」
 あっさりとそう言い返してきたから嬉しくなって、思わず口端が緩くなる。
 「アンタに誘われて喜んでいるようじゃあたしも甘いな」
 嬉しさを滲ませてそう返したら更に一言。
 「本当ですね」
 そう頷いてきたから笑い出したくて堪らなくなった。
 「甘いあたしをもっと誘えよ、花火」
 もっとあたしを甘やかせよ。

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