気温の高さに加えて湿度までもが高く、体に纏わり付くこの暑さの所為で倦怠感さえ覚える。
ジッとしているだけで汗がじわりと滲んできて、ロベリアは涼やかな顔で熱いお茶を飲んでいる昴に閉口した。
「この暑いのによく平気だな、アンタは」
「気温の高低差に負け過ぎなんだ、君は。それに僕は元々、体温がそんなに高くないからね」
「だからって暑いもんは暑いだろ…」
カラとグラスの中の氷を揺らして酒で喉を潤したロベリアに呆れ顔で昴が言う。
「大体、暑いと言いながら酒を飲んでいるのだから自業自得だ」
「これがアタシにとって一番の清涼剤だ。文句は言わせない」
「文句は言ってない。ただ、文句は言えないだろうと言ったまでだ」
そうため息を吐いた昴に口角を上げるロベリア。
グラスをテーブルに置くと昴の頬に指先を伸ばして撫でる。
「じゃあ、アンタの低い体温とやらで冷ましてくれよ」
目を細めて昴を見つめると、昴を引き寄せて咬み付く様に唇を深く重ね昴の舌の温度を確かめる様に舌先を動かす。
「…っ…は……」
「…熱い、じゃないか。…ああ、お茶を飲んでいたからか」
唇を離し、耳元で囁く様に言いながら昴のネクタイを緩め、一気に引き抜く。
シャツのボタンを外し、首筋をなぞってから指を中に滑り込ませ、鎖骨に触れると昴の躰がビクと動いた。
「何処が体温が低いって?」
耳朶を甘咬みしながらそう揶揄すると声に甘い表情を覗かせて不服そうに昴が答えた。
「…っ…君の…所為だ…っ…」
「アタシの?」
耳を食みながら鎖骨から胸まで指を滑らせると昴から小さく吐息が漏れた。
先程のキスと肌に触れられた事で少しずつ熱が上がってきている様だ。
昴の表情も僅かながらに変化している。
「っ…ん……そんな風に触れられたら体温だって上がる…」
それを言う事すら憚られるのか目を逸らしてそう言った昴に満足そうな笑みを浮かべると立ち上がって。
喉の奥で愉しげに笑ってから、ロベリアが言った。
「アタシの体温をアンタに分けてるだけじゃないか。貰ってくれるだろう?体温が低いんだったらさ。なぁ、昴?」
シャツのボタンを更に外すとロベリアは昴を抱き上げてベッドへと向かったのだった。