大すみ

 「だいぶ、暖かくなってきたね」
 春の陽射しに微笑みながら大神が言った。
 「はい。もう三月ですもの」
 そうすみれが笑顔で返す。
 「そしたら、桜ももうすぐだ。また皆で花見をしよう」
 「そうですわね」
 「でも、皆で行く前に二人だけで桜を見よう」
 思い掛けない大神の誘いにすみれの頬が紅く染まる。
 「デエトのお誘いと取ってよろしいのですか?」
 「勿論。俺とデエトしてくれるかい?すみれくん」
 恭しく礼をして手を差し出した大神の手をそっと取って、すみれが答える。
 「よろしくてよ、中尉」
 「ありがとう。楽しみにしてるよ」
 すみれの手にキスを落として大神が言う。
 …桜の開花が待ち遠しい季節。

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