ジオ音子

 「あの…」
 隣を歩いているジオに音子が言いにくそうに話し掛ける。
 「?何だ」
 「ジオさんは…女性の体型が判るんですよね…」
 「うむ。大概は当たっているな」
 質問に頷いたジオを複雑な表情で音子が見つめる。
 「それがどうかしたのか?」
 俯いた音子の顔をジオが覗き込む。
 「何かあるのか?音子君」
 「普段もやっぱり気にして見てしまうものですか?」
 神妙な顔で音子が言って首を傾げながらジオが答えた。
 「留意しない限りはさほど気にしないが?」
 「そうですか…」
 ジオの返答にホッとした様に息を漏らして音子が小声で言う。
 「…帝都は女優さんみたいな方が多いので私は全然敵わないなって…」
 「ん?それはどういう?」
 聞き返されてハッと忽ちに赤面してジオに顔を背ける音子。
 「な、何でもないですよ。行きましょう、ジオさんっ」
 「何でもないなら何故顔が紅いのだ?」
 「気の所為ですっ」
 耳まで紅くなった音子の手をそっと取って。
 「…うむ。やはり音子君は可愛いな」
 満足そうにジオは頷いた。

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