「兄さんの所為でヒューゴに怒られたじゃない!皆にも笑われるし、最低!」
不機嫌さを前面に出して言った源三郎に源二が言い返す。
「オレの所為じゃないだろ?!オマエが先に言って来たんだろうがっ」
「へぇ。じゃあ、兄さんは僕の言った事は全部言い返す気でいる訳だ。ご苦労様だね」
「はぁ?!」
鼻で笑った源三郎にムッとした様子の源二。
いつもなら、此処で更なる不毛な言い合いが続く処なのだが、何故だか急に訳知り顔になると一気にニヤけて源二が言った。
「あーー!オマエ音子の事!だから、先にオレが音子を誉めたのが気に入らないんだな?!」
「は?何言って…」
「言えよ!そういうのは!」
すっかりそう思い込んでうんうんと頷く源二の額を顔を真っ赤にしながら源三郎が指で弾く。
「!何すんだよっ」
思わず額を押さえる源二。
「兄さんが馬鹿な事言うからだよっ。自業自得だね!?」
(ヤキモチは兄さんにじゃないし!)
「オマエー!!」
「付き合ってられない!」
―何とも前途多難な弟の憂鬱。