音ヨハ

 「何故、私なんだ…?」
 今、正に部下から「あなたが好きです」と告白をされて、ため息を吐いてから再び事実を確認する様にヨハンが言った。
 「気付いたら好きになっていました」
 頬を染め、目の前の少女が真っ直ぐに見つめ返してくる。
 「…ミヤビ君」
 この年の娘にありがちな勘違いでもしているのだろう。
 上官としての接し方に何か間違いがあったのかもしれない。
 「もし私が君を勘違いさせる様な事をしていたらすまない」
 「どういう意味ですか?」
 ヨハンの言葉に音子が首を傾げる。
 「私はヒューゴ達と接する時と同様に君にも接しているつもりだ。だから、もしその中で特別だと感じていたらそれは違う」
 「勿論、それは理解しています」
 「では、何故…」
 「簡単です。あなたを好きになってしまったからです」
 「しかし、それは…」
 平行線を辿る問答にヨハンの手を取り指先に口付ける音子。
 「私もたくさん考えてこれは恋だって思ったんです。だから、これは譲れません。ですから、覚悟なさって下さいね?」

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