ジオ音子

 「ジオさんはオーストリアの方なんですよね?」
 「うむ。楽聖モーツァルトが栄華を誇った街だ。街には音楽が溢れているぞ」
 誇らしげに故郷を語るジオに音子から笑みが零れる。
 「素敵ですね!」
 「いつか機会があれば音子君を連れていこう」
 そう言ってから、はたと気付く。
 「い、いやそのこれはだな。そ、そういう意味ではなく、そういう意味もあって…何を言っているのか」
 落ち着きを取り戻す為に眼鏡を押し上げてから、一息吐くジオ。
 「…いつか、ご一緒したいですね」
 頬を染めながらそう言った音子の手を取って口付ける。
 「…いつか叶える事を約束しよう」

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