ジオ音子

 ハァと大きくため息を吐いた音子の目の前に唐突に差し出される大きな薔薇の花束。
 顔を上げると其処にいたのはジオ。
 「受け取らないか、音子くん。これは君へだ」
 「私に、ですか?」
 「うむ。美しいものを見ているだけで心が安らぐからな」
 メガネを押し上げてそう言ったジオに音子の口元が綻んだ。

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