「熱の伝染し方」グリサジ R15 (12/03月作成)


 「…はい。もういいよ、グリちゃん。見せて」
 時計をチラと見ると、隣で寝ているグリシーヌに手を差し出してサジータが言った。
 その声でがさごそと服の中に手を入れ、体温計をサジータに渡すグリシーヌ。
 「やっぱり熱があるじゃない」
 手渡された体温計の目盛りを見て溜息を吐くサジータ。
 そんなサジータの体温を確かめるようにその額に手を当てるグリシーヌ。
 「そなたの方が熱いではないか。これしきの熱、私は何ともない」
 起き上がろうとしたグリシーヌの肩を捕まえるように両腕を伸ばして寝かせると布団を掛け直して。
 「ダメだよ。無理しちゃ」
 「だがそなたを見舞いに来たというのに、私まで共に寝る事になってしまっては意味が無いではないか」
 眉をひそめてため息を吐いたグリシーヌに寄り添うようにピタとくっついてサジータが言う。
 「意味ならあるよ。アタシが嬉しい」
 破顔でそう首元に擦り寄って来たサジータが愛おしくなってグリシーヌの口元が綻ぶ。
 そんな顔をされたら憮然としている訳にはいかない。
 そういう処が敵わないと思ってしまうのだ。
 サジータの前髪に触れながら微笑むグリシーヌ。
 「そなたが可愛くて更に熱が出てしまいそうだ」
 グリシーヌに触れられている額がくすぐったいのかサジータが頭を軽く揺らす。
 「何を言ってるんだか」
 「本当の事を言ったまでだ。では、その熱をそなたに伝染そうか」
 グリシーヌは不敵に笑うと、サジータを見下ろす様に半身を起こし目を細めて深く唇を重ねた。
 舌でサジータの熱を確かめるように頬の内側を舐めると確かにいつもより熱い。
 だが、その熱さが心地好くて熱を奪い取るかのように舌を動かす。
 「…ん…ぅ…は…っ…」
 咥内で動くグリシーヌの舌に自らも舌を絡めてサジータが吐息を漏らす。
 体調の悪さも影響してかすぐに目眩がして舌の動きが緩慢になったサジータに気付いて唇を離して頬を撫でるグリシーヌ。
 「すまぬ。無理をさせたな」
 「はは、ごめん。ちょっと苦しくなっちゃった」
 「そなたの熱が心地好くてな」
 「アタシもグリちゃんの舌、気持ち良かったよ?熱を持って行ってくれてる感じがして」
 だから、もうちょっとキスしてたかったんだけどねと笑うサジータの顔は熱で上気し目は潤んでいる。
 結構、熱が高い証拠だ。
 「私に伝染して少しでも軽くなる様なら伝染すと良い」
 そうサジータの額にキスを落として布団を掛け直すグリシーヌ。
 「もう伝染ってるじゃない。グリちゃんも風邪引いてるんだし」
 「不覚だがな」
 「んー、でも嬉しいよ?アタシは。…恥ずかしい話、独りで寝てたら不安になっちゃったからさ」
 グリシーヌの肩に顔を埋めてサジータが言う。
 「…馬鹿者。不安になる前に呼ばぬか」
 甘え上手な癖にこういう処では甘えが足りないのだ。
 グリシーヌからしてみれば、もっと甘えたって良いし頼れば良いのにと思う。
 「今度からそうするよ…」
 瞼が重いのか目を閉じて擦り寄って来たサジータの手を握り、髪を撫でるとグリシーヌが言った。
 「少し眠るか」
 「うん。起きたらグリちゃんの熱、引いてると良いね」
 「そなたの熱もな」
 「引いてたら、さっきのキスの続きしてくれる?」
 「ああ。そなたの望むだけな」
 「楽しみにしてる……」
 隣から聞こえて来た寝息を合図に自らも目を閉じるとグリシーヌも眠りに落ちたのだった。
 二人並んでこんな風に寝るのも満更悪くは無いなどと思いながら。

 

~あとがき~

リクエストは「グリサジで風邪話」でした。
もういっそ二人とも風邪引かせてしまえということでそんなシチュエーションになりました。
今回の目標はひたすらいちゃいちゃでした。
そんな二人が書けたので個人的には満足です(笑)

綾乃さま、リクエストありがとうございました!

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