サジータの肌につけられた幾つかの痕を眺めながら、如何にも不機嫌そうに眉をひそめる昴。
何度言っても同じ事を繰り返すサジータには呆れるばかりだ。
だが、本当に呆れているのは自分自身にで、これ程までに手が掛かってどうしようもないというのにそれでもサジータの手を離す事が出来ないのだ。
「怒ってるよな?それとも呆れてるか。もう何度目だろうって」
座って見上げる様にそう言ってくるサジータにため息すら吐かずに昴が答える。
「その台詞を言うのも何度目なんだい?」
「えっと…三度目?」
言った後にチラと昴の表情を伺うサジータはまるで飼い主に叱られている犬の様だ。
「四度目だ」
昴の指摘にあからさまに「しまった…」という顔をして苦笑するサジータの額を昴が指で弾く。
「って!」
昴らしからぬ反撃に驚いて額を押さえるサジータ。
「…反省が足りないようだね。しばらく君には触れない事にしよう」
「え?!」
「僕じゃなくても君は満足するんだろう?」
その問いに俯いて呟く。
「…最後まではしてないし…」
「─であれば触れられても構わないと?」
昴の言葉に極まり悪そうに「違うけど…」と昴に抱きつくサジータ。
そのサジータに自ら触れようとはせず、ただそれを許す昴。
「…とにかく、君に必要なのは反省だ。念のため聞くが、僕の指は誰の物だ?」
「…アタシのだ」
「その指で他の誰かに触れる事を想像するんだな」
それを想像したのか昴の方を向いてサジータが言う。
「…アンタが他の奴を触るの嫌なんてアタシだけ狡いよな。
でも、考えたら本当に嫌だった。なのに同じ事ばかりして、ごめん」
「…こんな君には僕しか居ないだろう?」
目を細めてから、髪に手で触れた。