「すみれ君の髪は綺麗だよね。柔らかいし」
すみれの髪を撫でながら大神が言った。
「中尉の髪は硬いですものね」
背伸びして大神の髪に触れると苦笑してすみれが返す。
「そうなんだよ。だから寝癖がなかなか直らない」
ため息をついた大神の髪を確かめる様に撫でるすみれ。
「頑固そうですものねぇ…」
「まぁね…」
頷きながらも妙に嬉しそうな大神の表情に首を傾げてすみれが聞く。
「どうかされましたか?」
「ん?いや、人に髪を撫でて貰うのは気持ち良いなと思ってさ」
満面の笑みでそう言った大神に赤面して思わず手を引っ込めるすみれ。
「あれ?止めちゃうのかい?残念。顔が紅いね、すみれ君」
「ち、中尉が変な事を仰るからですっ…」
熱くなった頬を冷やす様に両手で挟みすみれが言う。
「変な事を言ったつもりはないんだけど。あ、気持ち良いって事?」
「し、知りませんわっ」
「でも、思うだろう?すみれ君も」
そうすみれの髪を撫でる大神。
「…思いますけど」
「ね?」
頷いて満足そうに笑った。