「何だって毎日毎日こんなに寒いんだ!」
ストーブに火を入れながらサジータが言った。
外出していた所為か部屋の温度はすっかり下がっていて室内だと言うのに吐く息が白い。
それでも、雪が降り積もっている外よりは大分ましなのだが。
「紐育の冬はこんなものだろう。今に始まった事ではない」
しれっとそう言う昴はこの寒さでも変わらずに脚を出していて見ている方が寒々しい。
「アタシが寒がりなのかアンタが普通じゃないかどちらかだね」
「慣れればどうという事はない。君が寒がり過ぎなんだ」
「だって、寒いんだから仕方ないじゃないかっ」
そう毛布を掴んだサジータの手を昴が掴む。
「…だったら僕の体温を奪えばいい」
サジータの指先に触れ、キスを落とす昴。
「それだと今度はアンタが寒くなるんじゃないか?」
半ば昴に見とれながらサジータが言う。
「勿論、君が熱くしてくれるんだろう?」
口角を上げて言った昴に期待の眼差しを向けるサジータ。
「アンタが熱をくれるんならね」
「先ずは何処の熱を君にあげようか―」
愉しげに目を細めると唇を重ねて。
「ん……っ」
それを待ちかねていたのか直ぐに舌で応えるサジータ。
温度を確かめる様に舌を絡め合い、息を混ぜ合う二人。
そんなキスを散々繰り返して目眩さえ覚えた後にようやく唇を離した。
「まだ寒いだろう?」
「ああ。寒いね」