「なぁ、昴。今年の終わりはどうする?」
唐突にサジータが言って、ため息を吐きながら昴が答える。
「…いろいろ抜けていて何を言いたいのか理解出来ないな。君はそれでも弁護士なのか?」
「ああ、いや、悪い。考えていた事をすっ飛ばしちまったみたいだ」
そう苦笑すると、真剣な顔で昴を見つめて。
「一年の最後の日と新しい一年の始まりの日にアンタにそばに居て欲しいって思ってさ」
最後に頬を染めて
「31日の夜をアンタと過ごしたいんだよ」
付け加えてサジータが昴の返事を待つ。
「…来年も君のお守りか」
照れ隠しなのか扇子で口元を隠し憎まれ口を叩く昴。
「まぁ、そう言わずに頼むよ」
そう言うとサジータはソファに座る昴に抱きついて頬にキスをした。
「アタシの面倒はアンタしか見られないだろ?」
「…昴は言った。それならば仕方のない事だと」
サジータの頬に手で触れて昴が苦笑混じりに答える。
その笑みが昴にとって肯定の意を含んでいる事に勿論気付いてサジータの口が綻ぶ。
「ああ。アンタじゃないと駄目なんだ。いいだろう?」
「全く、君といったら…」
「アンタに依存しすぎだって言うんだろ?」
「…解ってるならいい」
すっかりサジータに先を読まれて、決まり悪そうに息を一つ吐く昴。
「拗ねるなって」
「拗ねてなどいない。…来年も君の面倒は見よう」
「…うん。頼むよ」