大すみ1。学パラ。

 陽も落ちかけた頃、ようやく仕事を終えた大神が職員用玄関に着くと、見慣れたシルエットが其処に一つ。
 「…レディを待たせるなんて感心出来ませんわね、先生」
 少し緊張した顔ですみれが言う。
 恐らく、大神が来たらそう言おうと思っていたのだろう。
 「す…神崎さん、今日は車じゃないのかい?」
 思わず名前を呼びそうになって苦笑しながら大神が聞く。
 「…先に帰らせましたわ」
 極まり悪そうに俯くすみれ。
 「待っててくれたんだね」
 そう微笑んだ大神に嬉しさを滲ませ、すみれが言う。
 「たまには歩いて帰るのも悪くないと思っただけですわ」
 「うん。でも、ありがとう」
 「…一緒に帰りませんか?」

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