「そこで何してるでーすか?」
扉の前でウロウロしているサジータに織姫が声を掛ける。
「あ、いや、何でもないんだ」
「そーですか」
「………」
そのサジータの様子に、何かに気付いたのか織姫の目が輝く。
(…もしかして、なんですかねー♪)
「昴は優しいでーすか?」
「ああ見えて結構優しいんだ」
唐突なその質問に咄嗟に答えたサジータにニマと笑う織姫。
その織姫の反応に「しまった!」と手で顔を覆うサジータ。
「昴にはアタシが言っちまったって黙ってくれないか?」
「いいでーすよ!でも、一つ聞いていいでーすか?」
「あ、ああ」
「どうして、昴を?何考えてるか解らないじゃないでーすか」
織姫のその言い方に少しムッとしながらサジータが答える。
「いや、結構解りやすいぜ?昴は」
「そですかー?」
「ああ。確かに解りにくいところもあるけどさ。アイツは正しい事しか言わない。だから、信頼出来るんだ。まぁ、腹が立つ時もあるけどさ」
そう苦笑したサジータを嬉しそうに見つめる織姫。
「…昴を変えたのは、あなたかもしれませんねー」
その言葉に首を振るサジータ。
「いや、新次郎の力さ。アイツのひたむきさが昴を変えたんだ。アタシもそうだったしね」
「それも勿論あると思いますけど、昴があんなに…」
言いかけて止めた織姫にサジータが首を傾げる。
「?」
「何でもないでーす」
「…ああ、でも、あんたと話せて良かったよ」
そう笑ったサジータに織姫の表情が緩む。
「ちょっちしゃがんで下さーい」
「ん?こうか?」
言われるままに屈んだサジータの頬にキスをして。
「!?」
「昴の面倒、見てあげて下さーいね?」
そう笑ってサジータから体を離すと軽快な足取りでその場を去った─。