『ホームシック-Mal du pays-』ロベ×グリ(10/02月作成)

※サクラ4軸です。


「─このような所に居ったのか」
後ろから聞き慣れた声がして、ロベリアは振り返らずに応える。
「何だ。アタシが居ないと寂しいのか?」
そんなロベリアの視線の先には帝都、銀座の夜景が広がっている。
「だったら悪いのか?」
屋根に上がり、ロベリアの隣に立ちながらグリシーヌが言った。
「いや?」
「どうした?何を考えている」
いつもなら、ここぞとばかりにからかってくるクセに一言でかわしたロベリアにそう問うグリシーヌ。
「…初めは此処の眺めもまぁ悪くないって思ったんだけどな。やっぱり、ダメだな」
そう呟くように言うロベリア。
「そうか?なかなか美しいと思うが」
同じように正面を向いて、ガス灯の明かりに彩られた街を見つめながらグリシーヌが答える。
「ダメだね。此処にはエッフェル塔がない」
「当たり前であろう?此処は巴里ではない」
「そうだ。此処は巴里じゃない」
言ってから、屋根に座るロベリア。
「何を言いたいのだ。そなたは」
支離滅裂なロベリアに呆れるようにため息を吐いた後、同じように隣に座るグリシーヌ。
「なぁ、グリシーヌ」
「何だ?」
「…そろそろ帰らないか?」
思い掛けないロベリアの言葉に思わず顔を見る。
「…ロベリア。まさかとは思うが…。そなた、ホームシックなのか?」
「あー。そうなのかもしんねぇ」
グリシーヌの言葉に合点がいったようにポンと一つ手を叩くロベリア。
思わず、吹き出すグリシーヌ。
「フ、フフッ。そなたがホームシックとはな」
「悪いかよ」
拗ねたようにそう言うと、ロベリアはグリシーヌの膝に自分の頭を乗せて横たわった。
「なっ…」
「ホームシックなアタシを甘えさせろ」
「誰か来たらどうするのだ?!」
小声だが強くグリシーヌが非難する。
「ああん?そんなの決まってるだろう?こうするのさ」
グリシーヌの首に両腕を回し、自分の方に引き寄せると唇を近付けるロベリア。
「!……ん…っ…」
舌でグリシーヌの口腔を味わった後、唇を舐めると不敵に笑って。
「見せつけるだけの話だろうが」
「…は、話にならんっ。それのどこがホームシックなのだ!?」
突然のキスの余波でまだボンヤリとする頭を抑えながら、グリシーヌが言う。
「じゃあ、アンタは平気なのか?」
再び、グリシーヌの膝に頭を乗せてロベリアが問う。
「…平気な訳がなかろう。だが…」
「何だよ?」
途中で言葉を濁したグリシーヌを見る。
「…此処では、そなたと一緒に居られるではないか」
決まり悪そうに顔を背けるグリシーヌ。
「巴里に帰っても同じだろう?」
「違う」
「はぁ?」
「…巴里に帰ってしまったら、そなたと毎日会うことは出来なくなる…」
「あー…。そういうことかよ」
巴里に戻ればロベリアは服役中の身で外出許可の出る週末しか会えなくなる。
だから、まだ帝都に居たい。
そう俯いたグリシーヌの頬に手を遣るロベリア。
「アンタはホントにアタシのことが好きだな」
「どう思われても構わん…」
「でもよ。よく考えてみろ?限られているからこそ、すごく欲しくなる。そう思わないか?」
「…私もそう思おうとした。だが、どうしてもダメなのだ…」
グリシーヌのその言葉に、ロベリアは舌打ちすると起き上がってグリシーヌを抱き締めた。
「納得しなくても納得しろよ。アンタはホントに腹が立つほど真っ直ぐだな。ああ、まったく。可愛過ぎだ。馬鹿が」
「…我が侭ですまぬ」
「アタシはアンタと巴里で過ごしたいんだ。だから、帰ろうぜ?」
そうグリシーヌの髪に口づけるロベリア。
「仕方あるまい」
苦笑すると頷くグリシーヌ。
「…その代わり、帰りの船では覚悟しろよ?アンタが止めろっつっても止めてやらないからな?」
最後にニヤと笑って、囁くようにそう言ったロベリアに赤面すると小さく笑って。
「─直ぐに帰り支度をせねばな」
「ああ。帰ろうぜ、アタシたちの巴里へ」
目を合わせた後、再び銀座の夜景に視線を戻す二人。
次に二人で見る景色にはエッフェル塔がその存在を主張していることだろう─。

~あとがき~

リクはロベグリで帝都でイチャイチャでした。
時間的にはサクラ4事件解決後です。
どうですか?イチャイチャしてますか?(笑
いや、もう、お互いがお互いに甘いと良いと思う!
いっそ二人で双武に乗れば良いと思うよ!
もうホント、ロベはうちの男性陣の誰よりも攻め攻めで書き易いったらないな!
グリの余裕の無さがそうさせているのかもしれませんが。
多分、巴里では一番弱いコだと思ってるのでー。
グリはいつまでも余裕無く居て欲しいなぁと思う次第。
楽しかったです☆ ありがとうございました!

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