年賀状2010 大神×マリア


 「隊長、どうぞ」
 「ああ、ありがとう」
 帝劇の楽屋で恒例の新年会。
 空になっている大神の杯にマリアが酒を注ぐ。
 一口、口を付けると膳の上に杯を置き徳利を手にする大神。
 「マリアもどうだい?」
 「では、いただきます」
 大神の言葉に杯を両手に添えてマリアが言う。
 「ああ」
 酒を注ぐ大神を見つめるマリア。
 「先ほどは、」
 「うん?」
 「何を考えてらっしゃったんですか?」
 マリアのこの質問に徳利をおいた後、何かを思い出したかのようにフッと笑って前を見る。
 「ああ。いや、すっかりこのお正月に慣れてしまったなと思ってね」
 その大神の言葉で共に前を見るマリア。
 花組の面々が皆、楽しそうに笑っている。
 それはとても心地よい喧噪で。
 「…そうですね。私もすっかりこうしてお正月を過ごすことに慣れてしまいました」
 「守っていきたいと思うよなぁ…」
 「はい」
 呟くようにそう言った大神の言葉に強く頷くマリア。
 そのマリアの肩を引き寄せて、大神が言う。
 「もちろん、君の背中は俺以外に守らせる気がないけどね」
 そんな大神にマリアの頬が紅く染まる。
 「…ありがとうございます」
 「はは、マリアも慣れないな」
 マリアの肩から手を離すと戯けるように大神が言った。
 「もう、隊長っ。からかわないで下さい」
 これにますます顔を紅くするマリア。
 「ごめんごめん。…でも、本気だからさ」
 最後は真面目な顔でそう付け加えた大神に見とれて。
 「…はい。頼りにしてます」
 頷いて、そう微笑んで返す。
 「ああ。それじゃ、改めて」
 「はい」
 大神の音頭で目を合わせて。
 杯を軽く掲げる二人。

 「「今年も宜しくお願いします」」

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