巴里ライブ・カウントダウン0!
「…ノエルは家族と過ごすんじゃなかったのかよ」
ソファに座り、ワイングラスを揺らしながら、ニヤと笑ってロベリアが言った。
「何だ?」
ロベリアの傍らにグラスを持って立ち、何のことかと聞き返すグリシーヌ。
「エリカたちに言ってただろうが」
「ノエルとはそういうものであろうと申しただけだ」
「へぇ。アタシへの牽制かと思ってたぜ」
「例えば、と注釈を付けた筈だが?」
「そうだったか?」
「何なのだ、先ほどから」
妙に突っかかる物言いのロベリアに苛立ちを隠せずに眉間に皺を寄せるグリシーヌ。
そんなグリシーヌの眉間に指を伸ばすとトンと触れてロベリアが言った。
「何、力入ってんだ?」
「そなたがそうさせて居るのであろう!?」
「折角のノエルだ。楽しく行こうじゃないか」
そう自分の膝を叩き、ここに座れとグリシーヌに示唆するロベリア。
「は?」
「な?」
指をクイクイと動かしニヤと笑うロベリアに、諦めたようにその膝に腰掛けるグリシーヌ。
「そうそう、素直にした方が可愛いぜ?」
「呆れて居るだけだ」
ため息を吐きながらそう答えたグリシーヌの肩に後ろから自分の腕を回してロベリアが言う。
「…あんたとノエルを過ごすとは思ってもいなかったぜ」
「それはこちらの台詞だ」
ロベリアの腕を振り払うこともなく、前を向いたままグリシーヌが返す。
「まぁ、でも」
一度言葉を切ってから、低い声で囁くロベリア。
「…嬉しかったぜ」
「まぁな…」
ロベリアのその言葉に小さく微笑んでから少し頬を染めて、グリシーヌが頷く。
そして、グラスを合わせる二人。
ノエルは恋人たちの下にも幸せと共に訪れる─。