巴里ライブ・カウントダウン5!
雪化粧を纏い、すっかり冬の装いになった巴里の街を歩く大神と花火。
日本人である二人の黒髪は白銀に彩られた景色に一層映えていて、何とも言えないオリエンタルな雰囲気を醸し出している。
相変わらず花火は大神の一歩後ろから付いてきて、大神は時々振り返りながら花火と歩を合わせる。
ノエルの飾り付けが着々と進んでいる巴里の街を嬉しそうに見つめる大神に花火が問う。
「あの…大神さん」
呼び止められて、振り返り立ち止まる大神。
「ごめん、歩くの速かったかな?」
「いえ、そうではなくて一つお伺いしても宜しいでしょうか?」
改まって言う花火に笑顔で頷く大神。
「いいよ。何だい?」
「大神さんは日本ではどのようにノエルを過ごされていたのですか?」
「うーん。そうだなぁ。士官学校では特に何もしてなかったし、子どもの頃は田舎だったこともあって習慣自体がなかったよ。俺がクリスマス─…ノエルの習慣をちゃんと知ったのは帝都に来てからなんだ」
そう苦笑する大神。
「そうなんですか」
「ああ。花火君はどう過ごしていたんだい?」
「私は幼い頃より巴里に居りましたので、聖誕祭前夜は親しい方たちと食事を共にしたりして過ごすことが多かったです」
「それは楽しそうだね」
「はい」
そう微笑んだ後、物言いた気に大神を見つめる花火。
「それで、あの…」
切り出してみるも、二の句が継げることが出来ない。
「そうだ、花火君」
そんな花火を見つめ、何かを思い出したかの様に大神が言った。
「はい」
「実は聖誕祭の前夜をどう過ごすか決まってなくてね。花火君さえ良かったら一緒に過ごしてくれないかな」
大神のこの申し出に頬を染めて頷く花火。
「はい…」
その顔はとても嬉しそうで、そんな花火の表情に大神の顔も綻ぶ。
「それじゃ、行こうか。花火君」
そう腕を差し出した大神に花火がそっと手を掛けて。
「はい…」
寄り添って、再び歩き出す。
「楽しみにしてるよ」
「私もです……ぽっ」
見つめ合って、微笑む二人。
巴里の街はノエルの準備で華やかだ─。