『まったく見ていられない』
ロベリアは気が付いたらグリシーヌを抱え、自室に運んでいた。
「なっ、何をするっ」
ベッドの上に乱暴に下ろされ、非難めいた表情でグリシーヌが言う。
「何をする、じゃないだろうが」
不機嫌そうにロベリアが返す。
「何がだ」
「…アンタ、足をケガしているだろう」
「!気付いておったのか」
ロベリアの指摘に驚いた様子のグリシーヌ。
「判らないとでも思ったのかよ?」
「…皆も気付いて居るのだろうか?」
心配そうにそう言ったグリシーヌにロベリアが言う。
「花火辺りはどうか知らないけど、今のところはアタシだけだ」
「そうか…」
ロベリアのその言葉にグリシーヌはホッとしたように息を吐いた。
「見せろよ」
そうグリシーヌの靴を脱がせ、患部に手を触れるロベリア。
「…っ!」
触れられた痛みに顔をしかめるグリシーヌ。
タイツ越しでも熱を持っている足にロベリアは眉をひそめた。
よくこれで笑っていたものだ。
「よくこれでアタシを騙せると思ったな」
念のため、グリシーヌの額にも手を遣ると少し熱くて。
溜息を吐くロベリア。
「しばらく、そこで寝てろ。アイツらには適当に言っておく」
「し、しかし」
それでは皆に心配を掛けてしまうと、体を起こすグリシーヌ。
「迷惑だって言ってるんだ」
そんなグリシーヌを突き放すようにロベリアが言った。
「!」
唇を噛みしめながらグリシーヌがロベリアを見つめる。
「…解らないのか?」
「そなたの言う通り迷惑なのであろう。足手まといになるからな」
吐き捨てるようにそう言ったグリシーヌを鼻で笑ってロベリアが返す。
「─アタシの為に治せって言ってるんだ」
「何?」
「アンタに早く良くなって貰わないと困るんだよ」
そうグリシーヌの顎に手を遣り、不敵に笑う。
「!」
「…その意味、アンタなら解るだろう?」
わざと艶っぽく言ったロベリアにグリシーヌの頬が朱に染まる。
「なっ…」
「だから、大人しくしてろ。何なら寝かしつけてやろうか?」
ニヤニヤ笑いながらロベリアが言う。
「結構だ。一人で寝られる」
自分でそう言ってからふと気付く。
ロベリアにそう言わされたのだと。
からかうような素振りをしながら、休むように仕向けていたのだ。
「?何だよ。寝るんだろ?」
「…あ、ああ」
「何だ。おやすみのキスでもしてやろうか?」
「結構だ」
まったく、どこまで本気か解らなくて敵わない。
気が抜けたのか、瞼を閉じるとすぐに心地良い微睡みが襲って来て手足が一気に重くなる。
瞼を閉じる寸前、一瞬ロベリアがこちらを見つめて微笑んだのを見てグリシーヌは眠りに落ちた─。
リクエストはロベグリで「グリシーヌの体調不良をロベリアだけが気付く」でした。
うちのロベリアさんはすっかりグリに甘々ですね( ̄ω ̄;)
まぁ、今回はグリがケガしてるので!(笑
遥さま、リクエストありがとうございました!!