「由々しき事態」ロベグリ (11/05月作成)


─ロベリアは葛藤していた。
グリシーヌは今までそういう素振りを見せなかったというのに、からかうつもりで其処に触れた時への反応が熱を帯びていたからだ。
(アイツのそんな話は聞いた事がない)
一体、何処でどうやってと頭にそればかりが巡る。
自分が全て染めようと思っていた。
もう誰かの手が入ってるのかと思うと悔しくてたまらない。
(ああ、くそっ…)
気晴らしに飲む酒もちっとも美味しいと感じない。
からかったつもりがこの様なのだ。
当然だろう。
触れた瞬間に嬌がった声を聴いて、頭に血が上った。
それから、足早にその場を立ち去った。
それはまるで逃げるかのように。
(ちっ…)
舌打ちをするとロベリアは立ち上がった。
このまま、ここで苛々していても仕方がない。
いっそ、グリシーヌを問い詰めて本当の事を聞く方がマシだ。
再び、グリシーヌの元に戻ると案の定グリシーヌはロベリアを睨み付けてきた。
先程のような態度を見せておきながら何の用だ?ということなのだろう。
「何をしに来た」
「アンタに聞きたい事がある」
「私は話す事などない」
そう背を向けたグリシーヌの肩を掴む。
「アンタにはなくてもアタシにはあるんだよ」
「何があるというのだ?!」
「何がある…だって?」
失笑しながらそう言ったロベリアにいつもの余裕はない。
肩を引き寄せ、強引に自分の方を向かせる。
そして、首筋に指で触れると唇を近付け軽く歯を立てる。
「…!…」
その感触にグリシーヌの体がビクと反応する。
その反応に唇を離して、低く笑った後ロベリアが言う。
「…まるで、触られたのが初めてじゃないような反応じゃないか」
「何を言っている?!」
ロベリアの言葉に意味が分からないと眉をひそめるグリシーヌ。
「触られた事があったんじゃないか?」
フンと鼻で笑い口角をあげてそう言ったロベリアの手を不快だとばかりにはね除けてグリシーヌが言う。
「私を侮辱するか?!」
「侮辱?違うな」
再び間合いを詰め、グリシーヌの耳元で半ば自嘲気味に囁く。
「…つまらない嫉妬だ」
ロベリアに振り回され、挙げ句の果てにこの言葉だ。
何をどうしていいかグリシーヌにはもはや理解出来なかった。
ただ、一言言う。
「…そなたにしか触れられていない…」
混乱して今にも泣き出しそうな顔のグリシーヌを見つめるロベリア。
グリシーヌがそんな嘘を吐けるほど器用ではない事はよく知っている。
そこから、導き出せる結論と言えば。
「…悪かった」
そうグリシーヌを抱きしめるロベリア。
「…そなたは本当に訳が判らぬ…」
「アンタの事になると、冷静に判断が出来なくなるらしい」
苦々しい表情でそう言ったロベリアに、いつものロベリアだとホッとしたようにグリシーヌが返す。
「振り回される方の身になったらどうなのだ…」
「悪かった」
「大体、何を一人で怒っておったのだ。勝手に怒られては敵わないではないか」
「だから、つまらない嫉妬だって言ったじゃないか」
「嫉妬…?誰にだ」
そう顔を上げて首を傾げたグリシーヌの頬に手を遣るロベリア。
「アンタに声を嬌げさせたヤツに」
「は?」
思い掛けない言葉にその時の事を思い出したのか一気に赤面するグリシーヌ。
「初めて触れられたのに…ってことは、アンタはアタシに触れられたから声が嬌がったって事だ」
すっかりいつもの様子でニヤニヤと口角を上げてロベリアが言った。
「ななななななっ」
恥ずかしさでますますグリシーヌの体温が上がる。
「…覚悟しろよ?もうアタシに触れられたくてたまらないようにしてやる」
そう言うと、ロベリアは噛み付くようにグリシーヌの唇を奪った。
グリシーヌがロベリアの言葉を理解するのにさほどの時間は掛からないだろう。

 

~あとがき~

リクエストは”グリにイタズラをしたら微妙に経験がありそうで葛藤するロベ”でした。
いやー、今回はちょっと苦労しました(^_^;
ロベが開き直るまでが長かったです(笑
とりあえず、後半の下りが書けたので満足です。

sayaさま、リクエストありがとうございました!!

コメント

  1. 杜一 さんの発言:

    重かった瞼が一気に開眼しました(笑)
    ロベリアの焦りようが目に浮かびます。それに振り回されるグリシーヌが可愛い可愛そうですね。お互いに振り回されてるのが好きです。
    眼福でした、ありがとうございます(*´ω`*)

  2. コウヤ さんの発言:

    ありがとうございます(*´∀`)
    この二人は振り回しあえば良いと思っているので、そんな展開に。
    ロベリアが意外と恋愛にハマるタイプなんですね、きっと。
    まぁ、イタリア系ですからね(笑

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