花魁でロベグリ妄想。


吉原随一の華と謳われる黒猫屋のロベ姐さん。
其処に通い詰めるは貴族の跡取りグリシーヌ。
「何故だ…。何故、私の許に来てくれぬのだ?!」
ロベ姐さんを落籍(ひか)せ、自分の手元に置きたいグリシーヌ。
だが、ロベ姐さんは首を縦に振らない。
「あんたもしつこいねぇ。アタシにはここの水が合ってるのさ。いい加減、諦めたらどうだい?」
煙管から煙を吐き出しながら、呆れ顔でロベ姐さんが言う。
「私を好きだと言ったのは偽りだったのか…?」
「さぁ?どうだろうねぇ?何せ此処は花街だ。何処までが真実かなんて分かりやしない」
ロベ姐さんのその言葉に険しい表情のグリシーヌ。
「…信じる方が馬鹿だと…?」
「…さぁ?」
肩をすくめ肯定も否定もしないロベ姐さんの様子に、立ち上がり背中を向けるグリシーヌ。
「…また来る」
「はぁい。お待ちしてますワ」
声色を変え、戯けるように手をひらひらさせて送り出すロベ姐さん。
襖が閉まり、グリシーヌが出て行ったのを確認するとポツリと言う。
「…あんたに嘘が吐けるわけないだろうが。アタシはこの街以外では生きていけないのさ…」

なんちて、なんちて。

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