「ねぇ、ラチェット」
「何?」
「TRICK or TREAT!」
「HAPPY HALLOWEEN」
「…ちょっ、何でお菓子なんて持ってるんだい?」
「だって、後でリカが来ると思ってたから」
「じゃあ、これはリカに取って置くといいよ」
「お菓子がいらないなら、どうして強請ったりするのよ」
「嘆かわしいなぁ、ラチェット。僕が欲しいのはお菓子なんかじゃないよ」
「でも、あなたチョコレートを買い占めてたこともあったから」
「あれはチョコがメインじゃないしね。まぁ、チョコも美味しく頂いたけど。…って、そういうことじゃなくて。いいかい?僕は君に何て言った?『お菓子をくれないと悪戯するよ?』だ。それに対して、君は何だい?」
「サニー。まったく不可解なんだけど?ハロウィーンなんだからお菓子を持ってて当たり前じゃない」
「ああ。当たり前さ。ハロウィーンなんだからね。でも、君には持ってて欲しくなかったんだよ」
「何を言ってるのかさっぱり解らないわよ、サニー」
「じゃあ、もう一回言おうか。『お菓子をくれないと悪戯するよ?』」
「……ねぇ、サニー。まさかとは思うけど…」
「解ってくれた?」
「………」
「呆れてるね」
「呆れない方がどうかしてるわ」
「で。どうなの?」
「…あなたの中では決まってるんでしょう」
「もちろん。でも、君から聞きたいんだよ」
「悪趣味ね」
「そうかな?君を選んだ僕は誰よりも趣味が良いと思うよ?」
「…本当、あなたには敵わないわね」
「そりゃあね。僕は君に夢中だからね」