「久し振りね、ラチェット」
「…かえで…さん」
「あなたが元気そうで安心したわ」
「…ずっとあなたに謝らなければと思っていたの…」
「…あの事だったらもう赦してるわ」
「でも、私はあの時あなたを…」
「あなただって、あれほどの事態を招くなんて思っていなかったでしょう?」
「でも、許される事じゃないわ…」
「確かに許される事じゃないわね。帝都の被害は甚大だったし、誰が命を失ってもおかしくなかったのだから」
「えぇ、本当に…」
「それでも、あなたのした事を全て愚かだとは言い切れない。だって、あなたの考えたその先にあるものは同じだと思うから」
「かえでさん…」
「だから、方法を違えてしまったけれど、単純に正しかったとか間違っていたとかそんな風には判断を下せないと思うの。少なくとも、あの事であなたは成長出来た。たくさんの人に迷惑を掛けてしまったけれど、あなたにとってはあれは必要な課程だったという事じゃないかしら。今のあなたを見て、一層そう思ったわ。良いチームに育ってるもの。あなたの星組は」
「ありがとう…。何よりの褒め言葉だわ」
「ふふ。でも、辛いでしょう?このポジションは」
「本当ね…。ただ待つ事しか出来ない。とても、もどかしく思うわ」
「えぇ。自分が不甲斐なく思えてくる。それでも、笑顔で迎えられる事を強く信じて待つしかないのよ」
「自分がまっただ中にあった時にはなかった感覚だわ」
「私は…前線に立った事がないから偉そうな事は言えないけど、このポジションじゃないと見えないものもあるのよ」
「えぇ」
「いい?ラチェット。誰よりもあなたが笑顔を忘れては駄目よ?どんな状況だって、あなたがあのこたちを信じてあげる事。何より、あなたの信じているチームだもの。乗り越えられない事なんてないんだから、あなたはいつだって笑顔で迎えてあげるのよ?」
「えぇ。私が誰よりも信じてあげなくちゃね」
「そうよ。それにあなたもきっとあのこたちから学ぶ事も多いわ」
「本当にそうね。たくさんの事を教えて貰ったわ。私ってまだまだ解ってなかった事が多いって思ったもの」
「私だってそう。でも、迷っても必ずあのこたちが答えをくれる。あのこたちも私を必要としてくれる。出来る限り力になりたいと思うわ」
「えぇ。でも、迷って…どうしても答えが出なかったその時は相談にのってくれる?」
「もちろん、喜んで」
「…ありがとう」