「溺れるほど」ロベグリ (11/03月作成)


「どういう事だよ?」
顔を合わせるなり、開口一番にロベリアが言った。
その顔は不機嫌そのもので命が惜しい者ならば決して近寄らないことだろう。
だが、この場合はロベリアの方から近付いて来ている故にグリシーヌには避けようもなかった。
主の居ない部屋に不法侵入しておきながら、この態度。
しかも、入浴を済ませ疲れが取れたところで自室に戻って来た早々にだ。
全く、何様なのだと思う。
負けじと眉をひそめてグリシーヌが返す。
「何がだ?」
「”何が”だって?アンタは自分のやったことも忘れちまうのかよ?」
失笑しながらそう言ったロベリアを不快そうに見つめ返すグリシーヌ。
「何だよ。本当に身に覚えがないって顔だな」
「少なくともそなたにそのように言われる覚えはない。勝手に部屋に踏み込んだ上にその態度。むしろ不愉快だ」
「不愉快ねぇ。その台詞そっくりそのままアンタに返すよ」
「そう言うからにはそれ相応の理由があるのだろうな?!」
ロベリアの一方的な非難に怒りを抑えながらグリシーヌが問う。
グリシーヌのその問いに肩を竦めてから、ロベリアが答える。
「…アンタはいつからステージのスタイルを変えた?」
「何を言っている?」
「この前のライブの時、最前列の客に何を見せた?」
嘲笑しながらそう言ったロベリアにグリシーヌの顔が羞恥心から紅く染まる。
「思い出したみたいだね」
「あれは…!」
「確かに衣装の所為もあるだろうね」
「ならば…!」
「仕方がないって言うのか?」
不本意そうに頷くグリシーヌ。
ロベリアはそんなグリシーヌに近付くと羽交い締めするように後ろから抱きしめた。
「…何が仕方ないって?」
そう低い声で言うと、バスローブの前に手を伸ばし滑り込ませグリシーヌの内腿に触れる。
「…っ…」
「仕方なくなんかないだろ?!」
苛立ちを隠さないまま、指をその腿に伝わせるロベリア。
「や…め…っ…」
「だって、アンタはまだ解らないんだろう?」
「…解っては…いる…」
ポツリと呟くようにグリシーヌがそう言った。
思わず手を止めるロベリア。
意外なグリシーヌのその言葉に思わず顔を見る。
グリシーヌはそんなロベリアの視線が気まずいのか目を逸らし、更に続けた。
「…私とてそなたと同じ気持ちだ…」
「…………」
グリシーヌを見つめるロベリア。
「…それを解って欲しい」
ロベリアをまっすぐ見つめ返すグリシーヌ。
「…悪かった」
息を一つ吐くとロベリアはグリシーヌをそっと抱きしめ、グリシーヌの手を取って指にキスを落とした。
「いや…」
どうやら落ち着いたらしいロベリアの謝罪にもう良いと頭を振るグリシーヌ。
「つまらない独占欲だ。どうにもアンタのこととなると頭に血が上っちまう」
自嘲気味に鼻で笑うロベリア。
そんなロベリアに寄りかかるように頭を胸に預けてグリシーヌが返す。
「…そなたのその言葉、自惚れても構わぬのだな?」
「当然だろう?アンタにはもっと自惚れて貰わないと困る」
今度みたいなのは御免だとロベリア。
「ならば─」
「ああん?」
「私をもっと自惚れさせるのだな」
言ってから顔を紅くするグリシーヌ。
「ああ。溺れるほどに自惚れさせてやるよ」
不敵に笑って、再びグリシーヌの内腿に指を滑らせるロベリア。
それを待ち受けていたかのようにグリシーヌの表情が切なく甘く変わるのに時間はかからないだろう─。

 

~あとがき~

リクエストは”ラジオ・ライブ・楽屋ネタのロベグリ”でした。
…ということで、サクラジヲ改・第7回の浪漫日報より書かせて頂きました。
第7回の日報といえばー。
そうです。
「見えちゃった(見せちゃった)…?」
です(*´Д`*)
ロベに言わせれば”何見せてるんだよ?!”と。
”それはアタシのものだろうが”と。
そんな感じに書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

黒猫さま、リクエストありがとうございました!!

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