新春の青山劇場に行って参りました。
劇場前に「サクラバス」が展示されていました。
側面いっぱいにサクラ大戦活動写真のロゴとさくらさんが。
初めて実物を見ましたが、これが浅草を走っていたんですね。
これは結構目立つかも(笑)
普段はライトグリーンな都バスの車体が見事にサクラ色にコーティングされているんですからね(^^)
さて、それはいいとして先ずは開場待ちの入場列。
いつものように公平先生、大神さん、武田さん、金田先生がお顔を出してくれました。
実は遠巻きに見ていたので金田先生って判らなくてゲストの千葉さんかと思ってしまいました(^_^;)
いつもと服が違ったので・・・。
☆前説☆
そして、開演十分前。
聞き慣れたお声が。
「ほらほら、どいて。掃除しなきゃならねぇんだから。」
法被姿で手にホウキを持ったいつもの姿で広井さんが舞台下手(客席から見て左手)階段下より登場。
「まったくさぁ、五年もやってるのにずっと掃除ばかりやらされて・・・。普通五年もやってりゃあ出世しますよねぇ?」
そんなことをぶつぶつ言いながら舞台中央へ移動。
「大体、正月から芝居なんてやっちゃいけません!忙しくてかなわないですよ!」
ここで正面向いて、
「あ、皆さん明けましておめでとうございます。」
客席一斉に「おめでとうございまーす!」
客席的にこの時点で結構テンション高い感じです(笑)
新年の挨拶を交わした後、恒例の正しい歌謡ショウの観劇の仕方について諸注意がありました。
あと広井さんが前説で使われているホウキが五年も使っている所為で曲がってきてしまったらしく、ホウキを新調したとのこと。
ちなみに初日はまだ曲がっているホウキでした。3日以降に青山劇場の方にプレゼントされたみたいです。
広井さんが一通り話されるといつものタイミングで、
「広井!ちゃんと掃除してるか?」
親方登場。
「してますよ~。今ちゃんと掃いてましたよ。ホウキも新しくなったし。」5日夜
「よし、じゃあ後五年は掃除できるな(笑)」5日夜
「って、事は後五年続けるんですか?五年後、いや十年後、百年後はどうなってるんでしょうかね?歌謡ショウずっとやっててさ、日本の伝統芸能とかってなって歌舞伎みたいに『八代目真宮寺さくら』とかって言ってさ。そしたら凄いね(笑)」5日夜
客席から歓声。
台本とはいえ(笑)連日『出世したい』と言ってる広井さんに対して千秋楽に親方はとうとう・・・、
「分かった。出世させてやるよ!掃除人兼炊事当番!」
思わずずっこける広井さん。
「何か今回いろいろ楽屋で作ってたみたいじゃないか。」
「はい、お雑煮とか。今日はのっぺい汁作りましたね。あったかいもの食べてもらおうと思って。」
「あれなかなか評判いいんだよ。」
「ちょっと(汗)あれ、朝の九時に買出しに行かなきゃならないんだよ?!」
自ら手料理を振舞って皆さんを気遣う広井さん。
ホントに役者さん思いでいらっしゃいます(*^.^*)
ここで親方からゲストの市川春猿さんのことを。
「今回出演なさっている市川春猿さん。もう玉三郎か春猿かってぐらい歌舞伎界の若手ナンバー1の女形で!歌舞伎の方がこういった形で外部に出演なさるのは珍しいことなんですよ。凄いことなんですよ!」
「へぇ、そうなんですか。『出てよ。』『はい。』って簡単にはいかないんですか。」
「そうだぞ。」
「じゃあ何で出てるの?」
「それは、その・・・いろいろ大変だったみたいよ、上の方は。」
親方苦笑。
「そっかー、俺下っ端だからそういうの解らねぇや。やっぱ上の人にはなるもんじゃないね(笑)」
「うん、何かホントスケジュール調整とか台本書き直したりだとかいろいろ大変だったん・・・だろ?」
・・・と、初日つい『プロデューサー広井王子』に話し掛けてしまった親方。
そんな親方に広井さん。
「親方さあ、ここは舞台なんだから頼むよ(泣)架空の太正時代なんだから。あなたは親方。俺はただの掃除人。設定間違えないでね。」
「すみません(^_^;)」
つい素に戻ってしまい苦笑の親方。
多分、初日以降に追加されたと思われる歌舞伎の掛け声に関してのお話が。
「それはそうと、歌舞伎には決まった掛け声があるみたいだな。」
「そうそう。決まった屋号があって『澤瀉屋(おもだかや)!』って言うんですよ。」
「おもだかや!」
「そうそうそんな感じで。登場したときとか踊りの形が綺麗に決まった時だとかにビシッと掛けると良いんだそうです。」
「何か立ち役(男役)と女形では声の掛け方が違うんだって?立ち役だと『おもだかや!』ってちょっと力強い感じで女形の方には『おもだかや!』って心持ち優しい感じで言うみたいだな。」
「うん、でも皆さん大切なのは気持ちですから。うまく出来なくても宜しいんです。ですから、皆さんぜひ『おもだかや!』と声を掛けてみて下さいませ。」
「いやあ、しかし舞台を作るってのは大変だね。俺は下っ端ですけど、舞台を作るのがどれだけ大変かは解ってますよ。けど、今回の大変さってのは違うんです。」
「楽屋が大変なんだよな。」
「もう、引退公演というのはこんなに大変なものかって!お客さんもたくさんいらっしゃるんですけど役者さんは本番前だからお客さんの相手出来ないもんだから俺がもうバタバタと(泣)」
「忙しそうだったな(笑)」
「そうそうゲキテイですが、立つのは最後のゲキテイだけにして下さい。」
「言ってしまうと今回ゲキテイがえっと・・・三回あるのかな。」
「はい。1回じゃございません。ですから、最後のゲキテイまでは心の中で躍って下さい。」
「そういうことです。」
千秋楽はサイリュームを使った演出があるということで、入場時に一人一人にすみれ色(ヴァイオレット)のサイリュームが配られたのですが、そちらの説明も。
そんなこんなで開演時間が押し迫って参りました。
「では・・・神崎すみれ引退公演。どうぞお楽しみ下さい!」
広井さん&親方退場後、会場に開演ブザーが鳴り響きます。
☆オープニング☆
数分経って静まりかえったところで、かえでさんによる開演アナウンスが。
「皆様、明けましておめでとうございます。
大帝国劇場・副支配人、藤枝かえででございます。
本日はお忙しい中ご来場頂き、厚く御礼申し上げます。
さて、今回の舞台はこれをもちまして帝国歌劇団・花組を退団致します神崎すみれの引退公演となります。どうぞ最後までお楽しみ下さい。」
かえでさんのアナウンス終了後、拍子木の音が。
「ちょん!ちょんちょんちょんちょんっちょんっちょっ・・・・・・・・・・・・ちょちょんっ!」
いよいよ開幕です。
幕が上がって舞台が露になるとそこには懐かしい戦闘服姿の花組六人が!(戦闘服の為、レニを除く)
曲は勿論「♪ゲキテイ」です☆
戦闘服姿は「つばさ」以来だったので嬉しかったです。
曲終了後、舞台暗転。
一幕開始です。
☆一幕☆
路地裏のようなセット。
舞台下手より親方登場。
いつもの法被姿ではなく濃紺の着物に羽織というお姿です。
「まったく・・・正月早々物騒な世の中だねぇ・・・。うぅ、寒っ。・・・いつの間にか雪になってやがんなぁ。」
何やらブツブツ言いながら歩いていると、舞台上手(客席から見て右手)より足元がおぼつかないスーツに外套を羽織った一人の男性が。
「♪メートロでいこう~っと・・・あ!中嶋親方じゃないでゲスか!」
この口調はお馴染み金田先生です。
何やら上機嫌に少し酔っている様子。
「ああ、これは金田先生。明けましておめでとうございます。」
新年の挨拶を交わす二人。
「どこに行かれるんですか?」
「ええ、あっしは新年の挨拶回りも終わったのでこれから劇場へ行こうと・・・。」
「やや!そうでゲスか!いやぁ、ちょうど良かったでゲス!親方、これからその辺の屋台であたしと一杯やりませんか?」
「え?い、いや、あっしはこれから劇場へ・・・。」
金田先生の誘いもあまり気乗りしない様子の親方。
「ほら、何しろあたしは独り者で正月は寂しくてかないません。ねぇ、一杯だけ付き合って下さいよぉ~。」
・・・と、親方に絡む金田先生。
「そんなこと言ってる場合じゃないんですよ!」
一拍置いて更に親方。
「・・・・・・出たんですよ。」
神妙な声で深刻そうな顔。
「・・・出たんですか!?」
「そうです!」
「おっかしいなあ、あたしゃ春頃出るって聞いてたんですけどね・・・。」
「何の話です?」
「サクラ大戦4」
会場爆笑&歓声。
親方間髪いれず否定。
「違いますよ!暗闇小僧ですよ!」
「やや!あの暗闇小僧が!?」
「ええ。何でも蔵前の工藤男爵家の家宝の村雨の短剣が盗まれたとかで、工藤様の用心棒が刀を持ってうろうろしているんですよ。ですから、とばっちりを食う前に早く帰った方がいいですよ。ささっ・・・。」
・・・と金田先生にも家に帰ることを勧める親方。
本当に早く帰りたい様子。
「いや、でもですね。親方。暗闇小僧は旧幕臣の、それも元直参旗本の屋敷だけに押し入っているって話じゃないですか。こりゃあ何か訳ありだとあたしは睨んでいるんですけどね。」
「あっしは泥棒の訳なんて知りたくありませんよ。」
「あたしは知りたい!いやいやいや、こういうのが芝居のネタになるんでゲスよ!花組さんのお芝居でやりませんか?暗闇小僧!ええっと・・・そう!」
この後に金田先生が芝居の筋を考え始めるのですがこれがどうも日替わりで違っている様なので、簡単にネタを書きますね。
「暗闇小僧対巴里華撃団!なんてのはどうです?巴里に行った暗闇小僧が・・・。」
「暗闇小僧対海神別荘!なんてのはどうです?海を舞台に。でも実は暗闇小僧は泳げないと・・・。」
すみません二日分しか覚えてませんでした(汗)
調子付いて芝居の筋を話し出す金田先生に始めはきょとんとした顔で聞いている親方でしたが、
「あ・・・じゃあ、あっしは劇場に行くのでこれで!」
金田先生を振り切るように行ってしまいます。
それに気付いた金田先生も親方を追いかけて退場。
舞台は転じて柳橋のたもと。
ドタドタと大きな音を立てながら刀やらの得物を持った男たちが舞台上手より走りこんでくる。
キョロキョロと辺りを見回している。
誰かを追っている様子。
「いたか?!くそっ、どこへ行きやがった。」
「ちっ、捜せ!」
「へい!」
棍棒を持った男とリーダー格らしい襟巻きをした男を残して下手へと再び駆けていく男たち。
「・・・あ!にーげーらーれーたーかぁ?!」
と、残った襟巻きの男が素っ頓狂な声を上げる。
おお!この声は!紙芝居屋のおじちゃん!(笑)
ゲストの千葉繁さんは今回、用心棒の役でした。
「あのな・・・!」
もう一人の男が真面目にやれと言わんばかりにいさめる。
「まあ、そんなムキになるなよ(声色変えてます。ちょっと高めに)。世の中物騒な方が俺たちには何かと都合がよかろうが。所詮、我らは雇われの身。捕まえたとしても給金が上がる訳でもなし。」
・・・と、やる気ナッシングにしゃがみ込んで雪をつまんで投げる。
「貴様っ!」
その男のあまりのやる気の無さにもう一人の男は食って掛かるがかわされてしまう。
「ここまで追いかけたんだ。それでよかろう。・・・それより、今夜は冷える。そこらで一杯引っ掛けて帰ろう!な?」
「・・・お前はもう。わかったよ・・・。」
棍棒を持った男も諦めて一緒に歩き出す。
「うわっ!」
・・・と、向かっている方向から来る人物を見て驚く襟巻きの男。
「どうした?」
「柳橋の芸者の千代春だ!先日、俺を袖にしやがってよぉ・・・。」
「そりゃそうだろう。」
「あーん(泣)・・・ようし・・・ここはいっちょ仕返しといくか!」
「おい、よせよ!」
「いいから!ほら、隠れるぞ!」
結局、二人で一本の柳の木の陰に隠れる。
そこに現れたのは、傘を差しながらしゃなりしゃなりと歩く綺麗な芸者さん。
ここで客席から「おもだかや!」の声。
春猿さん、もう本当にお綺麗なんですよぅ(*’ ‘*)
思わず「ほぅ・・・」って見入ってしまいました。
「はぁ、酔った酔った・・・。正月からお座敷の掛け持ちとは・・・ありがた結びの初夢気分だねぇ。・・・おや、ここが亀吉楼かい。確か表に回ってくれって言ってたねえ・・・。」
そう言いながら千代春が歩いて行こうとすると、柳の陰から用心棒たちが出て来る。
「やい、千代春!」
襟巻きの男が声を掛ける。
「おや、旦那。」
「ちょうどいい。これから俺たちの相手をしろ!」
「・・・旦那。柳橋界隈で遊び慣れた旦那なら初春の芸者の忙しさを知っておられましょう。お後がつかえておりますので、ごめん下さいまし。」
「いいから来いと言ったら来い!」
「芸者はお座敷が舞台です。御用があるのであれば、どうぞお座敷に呼んでくださいまし。」
そう歩き出そうとする千代春さんに、襟巻きの男はとうとう刀に手をかける。
「待て!」
その声に振り向いた千代春は、男に冷たく言い放つ。
「おや旦那。刀に手をかけなきゃ芸者一人口説けないんですかい?」
「てめぇっ。」
ここで刀を抜こうとしたところを、千代春に簡単にかわされてしまう。
「女一人に男が二人。まったく男が泣きますよ。旦那。野暮天が逆上せて、下衆になっておりますよ。」
その身の軽さにもう一人の男も声を掛ける。
「あんた・・・ただの芸者じゃねえな?!」
「ええ。ただじゃあございません。柳橋の芸者と言やあ、千代春だ。お前さんたちとじゃ、雪と墨だねぇ・・・。」
「何だと!」
千代春のその言葉に我慢出来ずに千代春に手を出す二人。
しかし、千代春はこれもさらりとかわしてしまう。
「この!」
ここで先ほど暗闇小僧捜索に散っていった仲間が戻って来る。
「どうしたんだ?」
「おお、生意気な芸者が我らを愚弄したので懲らしめてやろうかと。」
襟巻きの男の言葉に他の用心棒たちも千代春を取り囲むように立つ。
それでも動じない千代春。
「男爵様の男爵芋に、この千代春が切れますか?」
襟巻きの男の怒りはMAXに。
「このアマ・・・!やっちまえ!」
多勢に無勢。
皆、刀を抜いています。
男たちが一斉に切りかかろうとしたその瞬間。
『ズキューン!』
辺りに響く一発の銃声。
その音に動きを止めた男たちが銃声のした方向を見ると、銃を手にしたマリアの姿が。
その後ろを通り、千代春の身を案じるようにさくらが千代春の隣に。
「何者だ!」
「暴漢に名乗る名前は無いわ。」
・・・と、マリア。
続いて、紫色のコートに身を包んだすみれ登場。
「まぁ、マリアさん。そんな街中で銃を撃ってはいけませんわ。お客様も心配なさってますわよ。」
「・・・それもそうね。」
ここで一旦、銃を下ろすマリア。
しかし、隙あらばと動き出そうとする用心棒たちに再び『動くな』と言わんばかりに銃を向ける。
「さくらさん。その方を連れて早く。」
「はい!大丈夫ですか?さ、行きましょう!」
と、千代春を庇いながらその場を離れようとするさくら。
それに対し千代春はさくらの顔を見て・・・、
「まぁーーー!帝国歌劇団のさくらさんじゃありませんか?!」
「え?は、はい・・・。」
「まぁ、どうしましょう!本物ですわよねぇ!」
はしゃいでいる千代春に隙ありと斬りかかって来た用心棒をよけた先にはすみれが。
ここでまた。
「まぁーーーーー!すみれさん!」
そのまますみれに話し掛けそうな千代春の手を危ないと言わんばかりにさくらが引っ張って用心棒から離します。
そして、今度はマリアと目が合った千代春さん。
「まーーーー!・・・誰だっけ?」
ここで軽くボケます(笑)
これにはさすがのマリアも小さくガクッと。用心棒たちはもっとガクッと。
マリアは気を直して再び銃を構えます。
「冗談ですよ、マリアさん!まぁ~・・・それにしても夢のようですわ。花組の皆さんとお会い出来るなんて!素敵ですよねぇ!花組さんの舞台!いつも見てるんですよ。」
と、すっかりミーハーな千代春さん。
さくらはすっかりのまれてしまい話に相槌を打っています。
そこで、すみれさん。
「さくらさん!邪魔ですから、その方を!早く!」
「あ、は、はい!さ、千代春さんも早く!」
「ええ。あ、そうそう!あたしこれから亀吉楼にいくのですが、花組さんのお座敷を設けさせますからぜひ・・・。」
逃げながらもマイペースな千代春さん。
二人で下手の階段を下りて退場。
さくらたちが去った後の舞台中央には背中合わせに用心棒たちに囲まれているすみれとマリアが。
「へへっ!そういう事か!こりゃあ正月の余興に持って来いだ!」
「マリアさん、このような輩にあなたの銃をお抜きになる必要はありませんわ。ここは私一人で十分です。ですから、マリアさんも早く。」
肩越しにすみれを見てから、フッと笑ってマリア。
「そう?・・・じゃあお願いするわ。」
そう言ってすたすたとさくらたちの後を追う。
すみれ対用心棒たち。
勢いよくすみれに斬りかかる男たち。
が、神崎風塵流免許皆伝の腕前に敵う訳もなくバッタバッタと倒されていく。
最後に残った襟巻きの男に一撃を入れ、空を見上げるすみれ。
「あら・・・雪が止んで、雲が晴れて・・・月があんなに綺麗。」
「この・・・っ」
悪あがきの襟巻きの男に止めの一撃。
コントみたいにグルングルンと頭を回してから倒れる男。
さすがです、千葉さん!
星が回っているのが見えましたよ(笑)
「まぁ、皆さんもうお休みですの?正月早々、飲み過ぎは良くありませんことよ。ほほほほほ・・・・・・おっほほほほほ・・・・・・おーほほほほほほほほっ・・・!!」
すみれ様かっこいい!
ここで舞台は再び暗転。
舞台は柳橋手前の路地に。
下手より出てきたのは金田先生と先生に肩を借りて歩く大神さん。
どうやら二人で飲んでいた様子。
「いや~愉快!愉快!あはははは!」
酔っ払って上機嫌の金田先生。
それに対し・・・
「ゆーかーい?!愉快だぁ?!何が愉快なんだよ?!」
こちらも相当酔っ払ってる様子の大神さん。
「な、何ですか?」
「・・・ったく・・・正月早々・・・酒飲む相手が!よりにもよってこーんなっ・・・へっぽこ脚本家だなんて・・・はぁ・・・なさけなーーーいっっ!!」
相当おぼつかない足で舞台中央で叫ぶ大神さん。
金田先生に絡む、絡む(笑)
そこで金田先生。
「大神さん・・・。あーた悪い酒だねぇ。しかも絡み酒だ!あはははは、絡み酒!」
そういう金田先生は笑い上戸になるんでしょうか?
飲み屋帰りのこの二人と帝鉄でばったり遭遇したら気をつけましょう、皆さん(笑)
「なーにーがー、可笑しいんだよ!」
金田先生をどつく大神さん。
「はっ!大神モギリ殿!」
パッと敬礼する金田先生。
大神さんもそれに応えるように敬礼。
一瞬キリッとなったと思いきやすぐにフニャーって感じに。
「よろひい。(* ̄A ̄*)」
しかも満足気。打って変わって今度はニコニコ。
いーやーなーお酒だーなー(カンナ調)
「ね、早く劇場に帰って飲みなおそう?」
金田先生の肩に手を置き劇場へと促す。
・・・というか大神さんお酒弱い?
こんなんじゃマリアのお酒に付き合えないわ(爆)
「あははは!そうでゲスな!」
二人で舞台上手に退場。
イヤな酔っ払いコンビでした(笑)
5日夜と千秋楽。
「早く劇場に帰って飲み直そう?」
この台詞を待ってましたと金田先生。
「そうおっしゃられるんじゃないかと思って持ってきたんですよ!」
手にした酒瓶と湯呑を大神に手渡す。
苦笑する大神さん。
会場から一気コール。
ここで大神さん。
「どうなっても知らないよ?」
ちょっと切り返せるようになったのね、大神さん(感涙)
男らしくいい飲みっぷりを披露して下さいました(笑)
入れ替わりに下手より走って来るのはカンナ。
「あれー?いないなぁ・・・。」
「カンナ、すみれたち居た?」
続いてかえでさん登場。
千秋楽では上記の金田先生たちの行動を受けて、
「あれー?この辺、何か酒くせぇな。」
クンクンと匂いを嗅ぐカンナ。
「あら、カンナ。あなたお酒飲んだ?」
と、かえでさん。
「いやいやいや、あたいじゃねぇよ。にしてもこの辺酒くせぇな。」
「いやぁ、あたいたち置いてけぼりか?」
どうやらすみれたちと待ち合わせたものの居ないらしい。
カンナの言葉で何か思い出したらしいかえでさん。
「・・・・・・ねぇ、柳橋の向こうは本所よね。」
「なんだよ。それが今の会話と何の関係があるんだよ?」
「だから、本所七不思議よ!『おいてけぼり』よ!」
「はぁ?」
「おいてけー・・・おいてけー・・・」
おどろおどろしいBGMが似合いそうなトーンの声でかえでさん。
ところが途中から段々と、
「おいてけ・・・おいてけ、老いてけ、どんどん老いてけ・・・。」
と何か違うことに。
このリズムに乗らないカンナじゃありません。
「老いてけ」のリズム(客席手拍子付は勿論のこと)にのってどんどん老化していく様を。
そんなカンナにかえでさん。
「カンナ、いつまでやってるの?」
「かえでさん・・・人乗せといてそりゃないよ。」
「だって楽しそうだったんだもの。」
ごもっともです(笑)
話は元に戻って、
「まったくすみれの奴。『(すみれの真似をしながら)柳橋のたもとに美味しい鴨鍋がありますので皆さんで召し上がりましょう。』なんて言うから、あたいたち浅草からこっちに来たのになぁ。」
「ねぇ、すみれたちは銀座からこっちに来てるのよね。」
「ああ、蒸気電話でそう言ってた。」
「まぁ、マリアも一緒だし・・・大丈夫でしょう。」
このかえでさんの言葉に「はあ?!」といった表情のカンナ。
「かえでさん。あんた長い付き合いなのに何も解ってない。マリアはああ見えて外人だぞ!十分怪しいじゃないか!」
「ま、まぁ。じゃあ早く合流しましょう。」
「そうだな!おーい!怪しい外人と高慢チキーーー!!」
怪しい外人・・・。
ドラマCD「花暦」の銀座ヨットクラブでの会話を思い出しますね(笑)
「もう、カンナったら!」
バタバタと舞台下手へと走り去る二人。
誰も居なくなった舞台。
舞台中央奥に置いてあった「御用水」と書かれた箱の中からベロムーチョ武田登場。
何でそんなとこに・・・(笑)
「鴨鍋?いいよな、正月に鴨鍋なんて。こっちは今年はアニキまで出稼ぎに行っちまって俺一人だぜ?あーあ、夏に金貸しちまったから金も無ぇしなあ・・・。」
5日夜・千秋楽は何と・・・
「おい!武田!一人で楽しそうにしてるなあ。」
ダンディーのボス登場!!
4日は西村のアニキもいらっしゃったみたいです。
「うわぁ!ボス!出稼ぎに行ってたんじゃないんですか!?」
「違げぇよ。俺は今年のスーパー歌謡ショウの為に紐育にレッスンに行ってたんだよ。」
そう言って華麗なタップを披露。
かっこいいです、ボス!
「いいですね!俺にも教えて下さいよ!」
「おっといけねえ、親分たちに挨拶に行かねぇと。」
さっさと行こうとするボス。
「ちょ、ちょ、ちょっとボス!俺は何してりゃいいんです?!」
「お前か?お前はな・・・正月休みだ。ゆっくりしてろ。」
「ってお年玉下さいよ!ギブミーマネー!ギブミーマネー!」
「アイ ハブ ノーマネー!」
ボス、下手に退場。
「そうだ、今からカンナさんたちの後を追いかけて偶然会ったような顔をすれば・・・、
『ややっ!花組の皆さんじゃないですか!』
『まぁ~、武田さんじゃありませんこと。謹賀新年。』
『あら!すみれさん!相変わらず若作りでお美しい!もうツルッツルのテッカテカって感じ!』
『まぁ~、おっほほほほほほほ・・・。さあさあ、武田さんもこちらに来て鴨鍋を召し上がって下さいな。』
『いやいや、あっしはそういうつもりで来た訳では・・・。』
『いいから、お召し上がり下さいな。』
『いやいやいや・・・。』
『いいから。』
『いやいやいや・・・。』
『いいから!』
『いやいやいや・・・。』
『いいから召し上がれってんだこの野郎!!』
『へい、じゃ、遠慮なく!』
・・・てなもんだ!」
以上、武田さんの一人芝居でした(笑)
「いやあ、やっぱり今年は一人でよかったよ!残りものには福来るってね!・・・あ、そうだ。ネギ持っていこうっと!」
ルンルンで舞台上手へと去って行く武田。
舞台下手より紅蘭、アイリス、レニの三人。
紅蘭は肩から緑色のカバンを下げています。
「ほんまやで!今回の発明品はすごいで~。」
「ほんとに~?」
「あ~、アイリスちゃん、その目は疑いの目やね~。ひどい!苦節云年、この頭脳と肉体を投げ打って世に素晴らしい発明品を生み出して来たうちに対してその態度!(手を空にかざしながら)・・・レ・ミゼラブル!!」
「レ・ミゼラブル?」
いまいち「?」なアイリス。
そこで花組の誇る『歩く辞書』レニがすかさず解説を。
でもお馴染みの淡々とした感じじゃないですよ。
「『レ・ミゼラブル』ビクトル・ユーゴー著。1848年に一時中断されたが、1860年全十巻からなる大衆文学として完成。パンの欠片を拾ったジャン・バルジャンの数奇な運命を描く。1902年、明治35年。黒岩涙香によって訳された。その時のタイトルが・・・(紅蘭の真似をして手を空にかざして)『あぁ、無情』!」
「解説ありがとう、レニ。」
「どういたしまして。」
ニッコリ笑って応えるレニ。
それでもアイリスには解りにくかったらしく難しい表情。
「うーん、わかりにくいよぉ!」
「ん?そうか?レ・ミゼ。あぁ、無情。・・・めっちゃ、解りやすいで。」
「わかりにくい~!」
「解りやすい~!」
「わかりにくい~!」
「解りやすい~!」
紅蘭・・・子どものケンカじゃないんだから(笑)
このままではこれが永遠に続きそうな勢い。
そこで、レニ。間に入って。
「で!紅蘭の新しい発明品って?」
レニのこの一言でパッと目が輝く紅蘭。
『待ってました!』と言わんばかりに。
「そうや!今回の発明品はこれや!!」
♪ちゃららちゃっちゃっちゃーん♪とお馴染みのSE。
紅蘭はカバンからおもむろに人形のような何かを取り出します。
「その名も・・・全自動拍手くんや!!」
「全自動拍手くん?」
と、お馴染みの復唱も見事ハモったアイリスとレニ。
「そうや。舞台を見ているとたくさん拍手して、手が痛うなるんや。特に歌謡ショウなんかなあ!」
そう客席に同意を求める紅蘭。
「そこで登場するのがこの全自動拍手くんや!いっくで~!」
スイッチを入れようとする紅蘭にレニ、思わず。
「・・・退避!」
アイリスの手を引っ張って物陰に移動するレニ。
ところが・・・、
『パチパチパチパチ!』
紅蘭の発明品は爆発することなく見事成功。
「すごーい!」
「お客さんのための発明だね。」
「なー。なー!」
満足そうな紅蘭。
そんな紅蘭の気を悪くしないように言葉を選んで続けるレニ。
「・・・でも、ボクは普通の拍手がいいな。お客さんがボクたちにくれる小さくても暖かい拍手が・・・。」
「そうだよね・・・アイリスもその方がいいよ!」
「そっか・・・そうやね!」
少し残念そうな顔の紅蘭。
しかし、納得した様子。
「ああ、でも!いつもお客さんのことを考えている紅蘭が、ボクは好きだよ?」
「ありがとう、レニ!また何か考えるわ。」
「そうだよ、普通の方がいいよ!」
「普通の?」
「ごく普通の。」
こちらも恒例(笑)紅蘭、レニの『普通の?』『ごく普通の。』会話。
大好きです、この会話v
三人でちょっと笑って、
「ねぇ、すみれが言ってた待ち合わせ場所って?」
「柳橋のたもと・・・・・・(やや中央寄りの上手を指差しながら)あっちだね!」
「よっしゃ!行くで~!」
紅蘭を先頭にアイリス、レニと続いて歩く様子は可愛かったです。
「♪だから~恐れない~」
紅蘭の歌にアイリスとレニで、
「おー!」
「♪失敗を恐れない~」
「おー!」
「♪爆発を~恐れない~」
「えぇーーー?!」
ナイス反応だ、二人とも!(≧∇≦)ъ
紅蘭たちが舞台奥へ消えると同時に舞台が回り(青山劇場は回り舞台も可能なのです)、高級料亭『亀吉楼』の一室に舞台転換。
純和風な部屋の造り。
膳が用意されおせち料理が並べられている。
落ち着いた様子で座っているすみれ。
マリアは感心した様子で部屋を見ている。
ふと棚に置いてある飾り皿に目を留めるマリア。
「・・・すごいわね。」
マリアの言葉に相槌を打って説明を始めるすみれ。
しかし、すみません(汗)説明の内容忘れました・・・。
「何せここは、柳橋屈指の料亭『亀吉楼』ですもの。それくらいのもの、備えてあって当たり前ですわ。」
「・・・へぇ。」
「さ、マリアさんこちらにお座りになってはいかがです?」
「でも良かったのかしら?こんな料亭にお呼ばれになってしまって・・・。」
すみれの隣に座りながらマリアがそう言うとすみれ。
微笑して、
「いいんですのよ、こういう場合は。千代春さんのお顔も立てて差し上げないと・・・。さ、マリアさん。」
自ら徳利を持ってマリアにお酒を勧めるすみれ。
マリアは杯(と、いうかお猪口)を手にとってお酌を受ける。
マリア、一気にくいっと飲む。
すみれ、徳利を置いて、
「・・・ところでマリアさん。私、帝国歌劇団って本当に素晴らしい劇団だと思いますのよ。」
急に改まった様子のすみれにマリア。
「今更、何を言ってるの?すみれ。こんな素晴らしい劇団が他にある?」
「ええ、本当に・・・。」
何やら感慨深げ、一息ついて更にすみれ。
「・・・マリアさん。新人のさくらさんも随分と成長したことですし・・・。そろそろマリアさんとのツートップにして看板にしてはいかがでしょう?」
「すみれ・・・。」
二人がそんな話をしているとは露知らずさくらは物珍しそうに料亭の廊下ではしゃいでいます。
すみれの話を受けてマリア。
「・・・あなた、熱でもあるの?」
マリアの言葉に小さくコケるすみれ。
何か言葉を続けようとした時、さくらが嬉しそうに部屋に入って来る。
『今の話は内緒』と人差し指を口に当てるすみれ。
「すごいですね~!」
はしゃいで動き回るさくら。
「何から何まで豪華ですよ~。えいやっ。」
そう言って縁側の端に飛び込んだり、
「こんなお座敷にお呼ばれされるなんて夢みたいですね!えいっ。」
と脚が床にピタリ付くくらいの見事な開脚を披露したり。
5日夜か千秋楽だったかこの開脚に入る勢いが強過ぎて思わず起き上がれなくなってしまうというハプニングも。
後ろでマリアさんが苦笑してました。
とにかく興奮している様子のさくら。
「さくらさんは田舎者ですから、こういう所には慣れていないのですわよねぇ・・・。」
と、すみれ。
「うわ~うわぁ!」
そんなすみれの言葉も耳に入らない様子で今度は料理を見て歓声をあげるさくら。
「もう、少しは落ち着きなさい!あなたも花組のトップになりたいのなら、もうちょっと教養を身につけなさいまし!」
「・・・すみれさん、言い過ぎです。」
ちょっとムッとするさくら。
いつもの調子だったらここでケンカが始まるところですが・・・、
「あ、そうでしたわ。千代春さんに花組の皆さんで、って言われていましたわね。私、ちょっと柳橋まで迎えに行って参りますわ。」
コートを手に取って立ち上がるすみれ。
「あ、あたしも行きます。」
一緒に行こうとするさくらにすみれはさくらの肩をポンと叩いて。
「いいから!あなたはここにいなさい。そして、少しはこういう所にお慣れなさいまし。・・・では、行って参りますわ。」
「・・・お願いします。」
と、マリア。
すみれが行ったのを確認するとさくらはマリアのそばに近寄って、
「すみれさん、何だかご機嫌斜めですね。」
「・・・そうね。」
目の前の徳利に目がいったのかさくら徳利を持って、
「・・・マリアさん。」
ちょっと色っぽく(笑)
マリアもさくらのお酌を受けます。
そして、ふすまが開いて千代春さんが部屋に入って来ます。
「失礼します。」
「わぁ・・・!お着物変えたんですね!」
冒頭は藤色のお着物でいらして、ここでは黒地に金糸の刺繍が入ったお着物に変わられていました。
本当に艶やかなんですよ~v
「ええ。花組さんのお座敷ですからねぇ。」
そして、さくらとマリアの間に座って、徳利を持つ千代春さん。
先ずはマリアに。
マリアはさくらから受けたお酒をクイっと飲んで千代春のお酌を受ける。
・・・というか、5日夜と千秋楽ではこの時に千代春さんが持っている徳利には本当にお酒が入っていたみたいでマリアさん苦笑しながらお酌を受けてました。
続いてさくらへ・・・しかし、マリアが、
「今日はこのような席を設けて頂き、ありがとうございます。」
と、挨拶を始めてしまった為、さくらの杯にはお酒が注がれず(笑)
結構、嬉しそうに待ってたんですけどね。さくらさん(爆)
「いいえ、そんな・・・。私、嬉しいんですよ。花組さんとお座敷をご一緒出来て・・・。私の我が儘を聞いて頂き、ありがとうございます。」
「そんな・・・。お礼を言うのはあたしたちの方ですよ!こんな素敵な料亭にお呼ばれになって・・・。そうだ!千代春さん!踊って見せて下さいよ!」
「さくら!」
「だって芸者さんの踊りって見たことないんですもの!こうして目の前にいらっしゃるんですもの!勿体ないじゃないですか!」
自分の言ったことがどういうことか解っていないさくらに、マリアは説明しようするが、
「芸者さんが芸を見せるって言うのは・・・・・・、」
マリアの言葉を遮るように千代春。
「いいんですよ、マリアさん。分かりました・・・花組さんの前でお恥ずかしいけれど・・・。」
「わぁ!」
すっと立ち上がり懐から扇子を取り出して、音楽に合わせ見事な舞を披露する千代春さん。
はぁ・・・本当に見とれるばかりで動作のどれを取ってもお美しくて・・・。
この舞が昼公演と夜公演では違うものをお演りになったそうで、昼は「梅は咲いたか」夜は「夜桜」という舞をされたそうです。
残念ながら私は「夜桜」しか観られませんでしたが。
舞を終え、一礼すると二人の間に戻って来る千代春。
「すごいです!」
拍手をするさくらに一礼して再び徳利を持ってマリアにお酒を勧める千代春さん。
マリアも苦笑しながらお酌を受けてました。
5日夜と千秋楽ではその前に注がれた本当のお酒を飲まねばならず、マリアさんは格好良くクイっと一杯いってから次のお酌を受けてました(笑)
でも、次の台詞でちょっと突っかえちゃったんですよね(爆)
「さぁ、さくらさんも・・・。」
今度こそお酌を受けるさくら。
「千代春さんは私たちの舞台を?」
「ええ、『愛ゆえに』から観てますよ。」
「五年前の?」
と、さくら。
「ええ。『つばさ』に『紅蜥蜴』に『アラビアのバラ』。それと、去年の『海神別荘』!あんなに難しいお芝居をあんなに斬新で面白い舞台にするなんて・・・。私感動しましたのよ。」
「ありがとうございます。」
「でも・・・。」
「でも?」
言いにくそうに言葉を詰まらせる千代春さんに聞き返すさくら。
「あの人たちはどうなんでしょうね?ほら、あの・・・女装した?・・・汚い人たち。」
「汚い・・・(-_-;)」
と、さくら。
「・・・・・・薔薇組?(-_-;)」
とは、マリア。
「光に溢れた花組さんの舞台の唯一の・・・汚点じゃないかしら?」
「・・・汚点・・・(-_-;)」
二人同時に。
重~い声。
暗くなるお座敷。
舞台上手にスポットライト。
出て来たのはラテンな衣装に身を包んでマラカスを手にした琴音さん(笑)
下手からはソファに座り、これまたラテンな衣装の菊ちゃん。
そして、あのメロディーが!
♪ウチャ!喜びの歌
薔薇組サイコー(笑)
ただ菊ちゃんが足を痛めていらっしゃったのか本公演中ずっと椅子に座ったままの演技でした。
歌い終わって二人でソファーで決めポーズ。
そのまま黒子さんが押して下手へと退場。
舞台中央に再び。
「き、汚くはないと思います。ただ何と言うか・・・そぐわないと言うか・・・。水と油というか・・・(^_^;)」
苦しいさくら。
「ああ、水と油ですか!」
「そ、そうです!」
「あははははは・・・」
乾いた笑いの後、二人同時に「はぁ・・・・・・・・・。(-_-;)」と重たいため息。
「それにしても・・・さっきの男たちは何だったんです?」
気を取り直して話題を変えるマリア。
「ああ・・・あれは横恋慕ですよ。芸者なんてやってると、いろいろあるんですよぉ・・・。」
「大変ですね・・・。きっとあっちの男、こっちの男ってたくさんの人に声をかけられるんでしょうね。」
さくらさんには他意がない分、結構強いのかも(笑)
「・・・花組さんのお客様は劇場にいらして下さるでしょう?でも、芸者は・・・お客様がお座敷に呼んで下さらないと干上がっちまうんですよ。ですから、例え嫌な客でも・・・『あら、旦那。お久しぶり。嫌ですよぉ、浮気なんかしちゃあ。』って・・・おべんちゃら使ってねぇ・・・。」
千代春の言葉にどう言っていいか解らない様子の二人。
「ごめんなさいね。湿っぽい話をして・・・。」
「いえ・・・。」
「さぁさ、お一つどうぞ・・・。」
と、またお酒を注がれそうなマリア。
これ以上は・・・と、話を逸らします。
千秋楽ではお返しとばかりに「千代春さんも一杯どうぞ。」と勧め千代春さんも「いただきます。」とマリアのお酌を受け素晴らしい飲みっぷりを披露して下さいました☆
「千代春さんは剣術をやっていらしたんですか?」
「え?」
「そうですよ!さっきの奴らを相手してた時の動き、すごかったですよ!」
何かを言いかけた千代春さんでしたが、すみれがカンナとかえでを連れて料亭の廊下へ。
「あ、来たみたいですね!カンナさん喜びますよ、このお料理見たら!」
しかし、廊下では、
「うわ~~すっげぇ所だなあ!」
「まぁ~そうでしょうとも。カンナさんには不釣合いな場所ですからね。」
「・・・何だよ、それは!もういっぺん言ってみろ!」
と、いつものヤツが始まってしまう。
「ええ、何度でも申しますわよ!ふ・つ・り・あ・い!」
「じゃあ、あたいにはどんな所が釣り合うんだよ!」
「そうですわねぇ・・・もんじゃ焼きくらいかしら?」
「いーもん!あたいはもんじゃ焼き大好きだもん!こんな・・・上品ぶったとこ、あたいは嫌いなんだよ!独りでもんじゃ食べるからいいもんね!」
「あ!ちょっとカンナ!」
かえでさんの制止も料亭を飛び出していくカンナ。
「・・・独りでもんじゃは寂しいわよねぇ・・・。」
とは、かえでさん。
的が、的が(笑)
「放っといても、そのうち戻って来ますわ。根は寂しがりやさんですから・・・。」
本当にお互いのことよく解ってるのにねぇ・・・。
部屋に入ってかえで。
「千代春さん・・・ですね。」
千代春さんの方に向き直って正座で三つ指ついて挨拶。
「大帝国劇場副支配人・藤枝かえでです。本日はこのような席にお招き頂き、ありがとうございます。」
と、大人な態度を。
さすが保護者ですね(^^)
「いえいえ、そんな・・・。私の方こそ我が儘を言ってしまって・・・。さあさ、こちらへ・・・。」
席を案内されるかえでさん。
そして、上手から紅蘭たち。
「やぁ~~っぱり!爆発しちゃったね。」
「・・・どうして『拍手くん』が爆発するかな?」
いや、それは紅蘭の発明品だからだよ。レニ。という突っ込みはさておいて(笑)
「・・・あ、ここだね。」
料亭の庭の出入り口から中に入る三人。
「うわぁ~!すごいよ、ここ!」
と歓声を上げるアイリス。
「めっちゃ綺麗な所やなぁ。」
「皆、こっちよ!」
紅蘭たちに気付いたさくらが中から声を掛ける。
「あ!さくらぁ!」
さくらの所に行こうとする三人。
ふと千代春さんと目が合います。
「まぁ~~アイリスさんに紅蘭さんに、それと・・・レニさんね。」
千代春さんの美しさに思わず目を奪われる三人。
同時に客席側に向いて、一息置いてから、
「はい~~!!」
「きれ~~~!!」
「・・・・・・こんにちは。(*’ ‘*)」
「さぁさ、どうぞお上がりになって下さい。」
「は~~い!」
「ほな、失礼します。」
靴を脱いで座敷に上がる紅蘭とアイリス。
レニはどうにも入りにくい様子。
「さ、レニも。」
「あ、ボク、畳苦手だから・・・ここでいい。」
そんなレニにさくら。
「でも、そこじゃお尻冷たいでしょ?ね、折角だから。」
中に入るよう勧める。
「・・・そう?じゃあ・・・。」
さくらの好意を無にしないよう上がろうとするレニ。
「ああ、そこで大丈夫ですよ。お料理お持ちしましょうね(^^)」
そう言って縁側に腰掛けるレニの分の料理をレニの元へ持っていく千代春さん。
その料理を見て歓声を上げたレニに、
「まぁ・・・可愛いお嬢さん。」
と、千代春さん。
「・・・・・・こんにちは。(*’ ‘*)」
思わず照れてお辞儀をするレニ。
ああ、レニ可愛い~ O(≧∇≦)O
「まったく・・・カンナさんは何をしていらっしゃるのでしょう。」
ぽつりと言ったすみれに紅蘭。
「何や、またカンナはんとケンカしたんかいな?イヌも食わへんな。」
「ね~。」
頷くアイリス。
「仲の良い証拠ですよね。」
と、さくら。
「すみれ、呼んでいらっしゃい。」
カンナの事が気になっているすみれにかえでが優しく言葉を掛ける。
でも、素直じゃないすみれさんはちょっと動きずらそう。
それを察したのかさくら、
「あ、それじゃ、あたしが行って来ます。」
と立ち上がる。
続いてマリアも、
「私も行くわ。」
二人で料亭を後にする。
「ねぇねぇ、これ食べてもいいの?」
目の前にある豪華な料理を指差してアイリス。
「あ、今新しいのを出させますよ。」
「いいよ、これで。もったいないもん!」
「ふふっ、どうぞ。」
アイリス、嬉しそうに料理に箸を伸ばす。
紅蘭も一緒に食べ始める。
「美味しいね!」
そんなアイリスに千代春さん。
「あなたはきっと・・・素敵な女性になるわねぇ・・・。」
「うん!」
嬉しそうに頷くアイリス。
同じく料理を食べながら
「これ美味いわ!」
と言った紅蘭にも、
「紅蘭さんは可愛いわねぇ・・・。」
その言葉に思わずアイリスの方にふぅーっと倒れる紅蘭。
「・・・おおきに。」
その紅蘭ですが、5日夜に口に運ぼうとした料理がポロっとこぼれちゃったんですよ。
そして、千代春さん。
「まあまあ、こぼしちゃって。紅蘭さんは可愛いわねぇ・・・。」
とすかさず突っ込んで。
紅蘭、思わず苦笑。皆も笑ってました。
それらを横で見ていたかえでさん。
思わず出た言葉は、
「・・・私は?」
「ああ・・・大人の魅力?ですねぇ(^_^;)」
「何か言わせてしまったみたいで」5日夜
千代春さんの言葉にご満悦のかえでさん。
「ねぇねぇ、どうしてすみれはいつもカンナとケンカばかりしてるの?」
と、アイリス。
「そ、それは・・・っ。・・・そ、それはカンナさんがきっと私のトッ・・・・・・・・・、」
すくっと立ち上がっていつもの「トッ・・・・・・・・・ップスター」のポーズを取るすみれ。
腕を上げたまま皆をじっと見ると、皆も「トッ・・・・・・・・・ップスター」のポーズ。勿論、千代春さんも。
それを確認してから、
「・・・・・・・・・ップスターとしての私の輝きに嫉妬しているからですわ!」
「・・・それは違うと思うよ。」
とは、レニ。
「いいえ!そうに違いありませんわ!あの方も女性です。一応。
でも、いつも男役ばかり・・・。マリアさんがさくらさんの衣装を身に付けたように、いつかご自分もとお考えなのですわよ。」
「そうかな・・・。」
「でももし・・・カンナさんが私の衣装を着たら・・・。」
この展開はもしや・・・。
そう、何と今回は・・・!
カンナならぬ「すみれの妄想」でございます!!
下手より「すみれの妄想」と書かれた箱が。
中から出て来たのはすみれの冬服に身を包んだカンナさん。
当然、ブカブカです(笑)
お馴染み妄想ダンサーズ(薔薇組)も赤い全身タイツにお腹にはそれぞれ「妄」と「想」の文字が。
ただ、菊ちゃんが立って踊ることが出来ない為、二人で椅子に座っていました。
そして、曲は勿論・・・☆
♪なやましマンボ
しかも、すみれの真似しながら(笑)
さすが、カンナさん(爆)
「さぁ皆様!声高らかに『マンボ!』ですわよ!」
でも、このお決まりのフレーズもカンナにかかると、
「さぁ皆様!声高らかに『マンボ!』と雄叫びやがれ!」
こんな感じに(笑)
曲終了後。
お座敷では・・・。
「おっほほほほほほほ・・・!!おーっほほほほほほほほっ!!
おーぞーまーしーいーーーーー!!
おっほほほほほほっ・・・・・・!」
と、すみれの高笑いが。
「・・・すみれ。笑い過ぎ。」
レニに突っ込まれ、ようやく止まるすみれの笑い。
ところが、もう一人・・・、
「あら?千代春さんにも見えたみたいよ。すみれの妄想。」
かえでさんの視線の先では千代春さんが着物の裾で顔を隠して笑っていた様子。
「ええっ?!」
みんなに突っ込まれ「いえいえ」と頭を振る千代春さん。
そこに、背中にネギの入った籠を背負って庭先から『亀吉楼』に入って来る武田さん。
「やや!花組の皆さんじゃありませんか!」
「あら、武田さん。」
と、かえでさん。
「いやいやいやいや、こりゃどうも。」
「何やねん、そのネギは?」
と、すかさず武田に突っ込む紅蘭。
「あ、これね。これは今そこの畑で取ってきたばかりでしてね。新鮮なんスよ!」
そんな武田にすみれ。
「まぁ~、武田さんじゃありませんこと。謹賀新年。」
と、武田のシミュレーション通りの挨拶を。
よし!と小さくガッツポーズをする武田。
「あら!すみれさん!相変わらず若作りでお美しい!」
自分もシミュレーション通りの挨拶を・・・、
「!」
あ!(^_^;)
「もうツルッツルのテッカテカって感じ!」
一言も二言も多い武田にすみれの鉄拳が。
往復ビンタに止めのアッパー(笑)
「ふん!」
それでもめげない武田。
お座敷を覗いて、
「あれ?!か、鴨鍋じゃない!?」
「ははーん。読めたで~。すみれはんが鴨鍋ご馳走してくれるって話、何処ぞで聞きつけたんやろ?」
紅蘭の鋭い突っ込みに慌てる。
「やややや!違いますよ!あっしは花組さんの姿が見えたから、新年のご挨拶でもって思って。」
「ネギは~?」
更にアイリスも突っ込む。
「あ、いや、これは、その・・・(突然咳き込んで)ごほっ、ごほっ、いやあ薄着だから風邪引いちまったみたいで・・・。ノド焼いてネギに巻こうと思って・・・。」
あれ?何かが・・・。
武田さんかなり動揺(笑)
「あ、違う違う!ネギ焼いてノドに巻こうと思ったんスよ!あ!レニちゃん知ってる?
ノドにネギ。ボクはレニ。なんてね!あはははははは・・・(ちょっと引きつった笑い)」
場は何となく白けムードに。
武田、後ろに下がって膝をついて改めて。
「明けましておめでとうございます!」
場が何とか和む。
頭を上げて武田。
「や!千代春姐さんもいらっしゃったんですか!こりゃ、どうも・・・明けましておめでとうございます。」
「まぁ、武田さん。」
「お知り合いなの?」
と、かえでさん。
「知り合いなんてもんじゃありませんよ!今帝都で一、二を争うと言ったら、帝国歌劇団・花組のレビュウと柳橋の千代春姐さんだってくらいですよ。」
「まぁ~~、武田さん。嫌ですよぉ、そんなホントのこと言っちゃあ。」
これには千代春以外、皆ズルッと。
そこに下手よりさくら、マリア、カンナが。
位置的には料亭の庭先くらいの所。
カンナの首にはリングが。
駄々をこねているカンナ。
「もう、カンナさん!すみれさんに悪気は無いんですから。ね、お正月くらいは仲良くしましょうよ。」
「だぁって~~。あたいは仲良くやりたいと思ってるんだよ!けど、すみれのヤツが・・・。」
「カンナは大人でしょ?」
そうカンナをなだめるマリア。
マリアの言葉に反応するカンナ。
「大人ってのは「大きい人」って意味か?」
『違う』と言いかけたマリアを制して、さくら。
「そう!そうです!大きい人って意味です!」
そのさくらの言葉に気を良くしたカンナ。
さくらさん、カンナさんのなだめ方を心得てますね(笑)
「そりゃあ、あたいは『大人』だよ!?もう!やだなあ、マリア(^o^)
あたいがすみれの嫌味なんかにヘソ曲げる訳ねえだろ!」
すっかり機嫌を直したカンナ。
顔を見合わせて苦笑するさくらとマリア。
「お~~い!」
お座敷の皆に声を掛けるカンナ。
「あ!カンナはん!」
「いやいやいや・・・。うわっ!綺麗だな~~!!」
千代春さんを見て、思わず歓声を上げる。
綺麗過ぎですから、ホント・・・。
「千代春さんは花組の舞台を全部見て下さっているそうなんですよ。」
と、さくら。
「あら、じゃ、赤鮫くん見ちゃった?」
頷く千代春さんにカンナ。
「じゃ、一緒に・・・。ポンポコチーン!」
二人で一緒にポーズ(爆)
「何ですの?それは?」
カンナの首にかけられた六つのリングを見てすみれが聞く。
「ああ、これか?正月だから芸の一つでもやろうと思ってな!アイリス!」
と、お座敷にいたアイリスを呼ぶとアイリスも『よし、きた!』という感じで立ち上がって庭先に。
「いいよ~。」
アイリスの合図で始まったのはお馴染みのジャグリング。
リング六つのうち三つをお手玉のように宙に投げ始めるカンナ。
これを一つずつアイリスにパスし、自分も残りの三つをお手玉し始めます。
「いち、にぃ、さん!」
でお互いにリングをパスし合うという技。
当然、日によって成功した時もあればうまくいかなかった日もありました。
芸を終えてすみれ。
「まぁ~。芸は身を助ける、ですわねぇ!」
「・・・お前が言うと何だか嫌味っぽいなぁ。」
「カンナ。」
またケンカに突入しそうなカンナにマリア。
「あ!そうだ、そうだ!あたいは大人だったんだ!大人大人・・・」
そう言ってお座敷に上がろうとするカンナ。
ふと、
「武田!」
「あ、どうも、どうも。」
「ちょうどいい!お前もなんか芸やれ!な!」
カンナのこの言葉に客席からも歓声&拍手。
「いや、あっしは・・・。」
「武田~。お前これだけの拍手貰っておいてやらないなんて言うんじゃ・・・。」
「いや、でもホントに。」
断ろうとする武田にカンナは、
「・・・マリア。」
カンナの合図に懐からおもむろに銃を取り出すマリア。
そして、銃口を武田に向ける。
「分かりました!やりますよ!やりゃあいいんでしょ!とても正義の味方とは思えないよな~。ヤクザより怖ぇよ。」
ぶつぶつ言いながらも立ち上がって庭先に出る武田。
ごもっともです、ハイ。
白昼堂々、マシンガンを大っぴらに持ち歩くシスターと同等だと思います(^_^;)
ペッペッと手に唾を吹きかけ準備は万端。
助走をつけていざ!となったところで
「バーン!」
マリアさんが口で銃声を。
映画「マトリックス」のキアヌ・リーブスさながらに仰け反って銃弾を避ける武田。
避けたあと、再び助走をつけて見事なバク宙を披露。
千秋楽では再び助走をつけたときにまたもやマリアさんが
「バーン!」
と言って思わず武田さんがズルっと。
「そう来たか。」
満足そうに笑うお茶目なマリアさん(笑)
見事なアクションを披露して
「どうもどうも・・・。」
と、お辞儀した武田の元に一頭の虎が勢いよく突っ込んで来る。
「うわっ!」
「な、何や!」
突然、現れた虎に騒然となる一同。
虎・・・と言っても着ぐるみなんですが。
全員(かえでさんと千代春さんを除く)、何事かと庭先に下りてくる。
マリアが虎に銃口を向けたところでアイリス。
「マリア、撃っちゃダメ!」
「・・・今年もダメ?」
と、マリア。
「ダメ。」
そう頷くアイリス。
今回やたらと銃を抜きたがるマリアさんです(爆)
アイリス、虎に近付いて、
「お手!」
ちゃんとお手をする虎。
でもアイリスの方に口を大きく開けて、今にもアイリスを食べそうな勢い。
「きゃあ!」
と、思わず後ろに飛ぶアイリス。
「危ねぇ!オラオラオラ!!」
がしっと虎の口を抑え、地面に叩きつけるように投げるカンナ。
虎の頭が取れて中から転がってきたのは何と大神さんと金田先生。
「まぁ、中尉!」
「金田先生!」
皆で倒れ込んでいる二人の元へ近寄る。
が、余程お酒くさいらしく扇ぐように手をパタパタさせる。
その二人を追ってきたらしく今度は親方が慌てた様子でやって来る。
「ダメですよーーーー!劇場から勝手に虎の着ぐるみ持ち出しちゃあ・・・って、皆さんお揃いで。」
「・・・親方、これは一体どういうことなの?」
「ああ、マリアさん。いやね、金田先生と大神さんが劇場で飲んでらして『それ以上飲んだら虎になりますよ。』って言ったんですよ。そしたら『おう!虎、結構じゃねぇか!なってやろうじゃねぇか!』って虎の着ぐるみ持ち出して『暗闇小僧を捕まえてやるんだ!』って飛び出して行っちゃったんですよ~。」
親方の説明終わった直後。
「暗闇小僧!どこだぁ~~~ふにゃ・・・。」
そう叫んでバタリと倒れる金田先生。
奥の座敷では何やら千代春さんの様子がおかしい?
それを見ていたすみれ。
「・・・ぴ~ひゃらどん・・・・・・。」
こちらも酔っ払って意味不明な言葉を呟いて同じくバタリと倒れる大神さん。
大神さん、今回ただの酔っ払い(^_^;)
どうしようもない二人にかえでさん。
「とにかく、寝かせましょう。」
「それでは奥に・・・。」
と、皆を案内する千代春さん。
紅蘭、アイリス、レニ、カンナ、武田が倒れている二人の肩を担いで、かえでさん、千代春さんと奥へと入って行く。
舞台にはすみれ、マリア、親方が。
親方は残った虎の頭を回収して劇場に戻ろうとする。
「では、あっしは劇場へ。」
その親方にすみれ。
「ちょいと親方。」
「へい、何でしょう?」
「その、暗闇小僧って・・・?」
「ああ、何でも蔵前の工藤男爵家に押し入って家宝の村雨の短剣を盗み出したとか・・・。」
「そう・・・・・・ありがとう。」
すみれの質問に答えて劇場へと帰って行く親方。
一方、すみれは何か考えている様子。
そんなすみれにマリア。
「どうしたの?」
すみれが答える前に、さくらと千代春が奥座敷より戻って来る。
「そう、あの方がモギリの大神さん。」
「とっても、頼りがいがあるんですよ!」
「ああいう方に支えれておりますのねぇ・・・。」
その和んだ雰囲気の中、すみれ。
「・・・ちょいと千代春さん。その帯に差してある短剣は何ですの?」
すみれのこの一言で場は一瞬にして緊迫した雰囲気に。
「・・・ああ、これは・・・。」
言いにくそうな千代春。
「短剣を差してお座敷に出ている芸者なんて、聞いたことございませんわ。さ、その短剣をお見せなさいな。」
鋭くそう言ったすみれに短剣を守るように背を向ける千代春。
「これは・・・父の形見なんです。」
あくまでもすみれに短剣を渡さない態度。
「私の目は節穴ではなくてよ。そのこしらえは、村雨の短剣。千代春さん、あなた・・・、」
すみれの言葉を繋ぐようにマリア。
「・・・暗闇小僧。」
「えぇっ!?」
二人の言葉に驚きを隠せないさくら。
すみれの言葉を黙って聞いていた千代春でしたが、フッと笑って、
「あーあ・・・バレちゃった。」
「・・・何で?」
千代春の言動が解せないさくら。
「何で言っちゃうんですか?すみれさんに確証はなかったんですよ?!知らぬ存ぜぬでやり過ごせば、それでよかったのに・・・!」
そんなさくらに千代春さんはむしろ笑顔で。
「ふふっ、何でだろう。きっと・・・花組さんに嘘はつけないと思ったのね・・・。」
「・・・千代春さん、よかったら事情を話して頂けませんか?」
と、マリア。
ぽつりぽつりと語り出す千代春さん。
「私の家は古くは河津三郎祐泰(かわづさぶろうすけやす)の流れを組む武家の家柄で、この刀は我が家に代々伝わって来たものだった。そして、この刀は・・・私の父が病に伏せた時に盗まれたものなの。・・・ところがここにきて工藤男爵が盗ませたと判って・・・。」
ちょっと補足。
河津三郎祐泰とは・・・歌舞伎や能の演目としても有名な『曽我物語』の曽我兄弟の父です。
『曽我物語』は曽我兄弟が陰謀によって殺されたこの河津三郎の仇を討つまでをえがいたお話です。
「でも、盗みは盗み・・・、」
あくまでも千代春を責めるすみれにさくら。
「すみれさん!」
すみれの言葉を遮るように明るい声で、
「こ、これはきっと何かの冗談ですよ!千代春さんがお正月の余興にって・・・からかっているだけですよ!だって・・・暗闇小僧ですよ?!小僧は男に決まってます!きっと今頃はその・・・何とかの短剣とかのこしらえを変えてますよ!
(急に声のトーンを落として真面目な顔になって)・・・・・・大事なのは、刀の部分なんですから。柄やこしらえを変えてしまえば・・・判らないんですから。」
そう言って千代春が帯に差した短剣にそっと手を触れる。
黙ってさくらの話を聞いていたすみれはフッと笑って、
「・・・そうね。そうですわよね!もう!嫌ですわ、千代春さん。お正月早々そんなご冗談を。」
一変したすみれの言動に一瞬「?」といった表情のさくら。
そのさくらの肩に手を添えてすみれ。
「あなたもまだまだだと思っていましたが・・・さすがに花組。やっと・・・人の情というものが解ってきたのですわね。こんな素敵な場所で人の過去を詮索する方が・・・野暮ですものね。」
「すみれさん・・・。」
すみれの言葉に笑顔のさくら。
その二人の後ろでは着物の袖をそっと目に当てる千代春さん。
「じゃあ・・・飲み直しましょうか。」
マリアの一言に、皆頷き再びお座敷に上がろうとするが・・・、
「ぬかるなよ。」
「へい!」
庭の出入り口に先ほどすみれが懲らしめた襟巻きの男を中心とする用心棒たちが。
どうやら仕返しに来た様子。
千代春がお座敷に上がった時点で庭先に突入。
「やいやいやい!千代春!!さっきはよくもコケにしてくれたなぁ!!」
「あなたたち!」
キッと用心棒たちを睨むさくら。
「死にたい人は前に出なさい!」
傍若無人な用心棒たちに素早く銃口を向けるマリア。
「う、撃つと騒ぎになるぞ!お前たちの名に傷が付くんじゃないのかぁ?」
少しうろたえながらも痛いところを突く襟巻きの男。
「くっ・・・。」
仕方なく銃を下ろすマリア。
「よぅし、よぅし!さぁ、千代春!ここに来て詫びやがれ!」
そう言って刀で地面を指す襟巻きの男。
だが、千代春は、
「笑わせるじゃないか!盗人猛々しいとはお前たちのことだよ!さぁ、詫びて詰め腹でもお切りなさいな!」
逆に啖呵を切る。
「ああ言えばこう・・・!やっちまえ!」
「へい!」
これを合図に、さくら・マリア・すみれ対用心棒戦が開始。
そこへ、奥の座敷よりかえでさん、カンナ、紅蘭、アイリス、レニたちが元のお座敷に戻って来る。
「まぁ、一体何の騒ぎなの?」
「へへっ、何だか分かんねぇけど思いっ切り暴れちまいな!」
と、カンナ。
そこにお座敷に用心棒の一人が踏み込んでくると、カンナと取っ組み合う。
そんな事にはお構いなしに座っているかえで、紅蘭、アイリス、レニ。
構うどころか料理に歓声を上げるアイリス。
「あぁー!お芋だぁ!」
「え?どれどれ?!」
用心棒の腕を掴みながら料理を覗きに行くカンナ。
「数の子よ!」
今度は器の蓋を取ってそう言ったかえでさんのところを覗きに行くカンナ。
そのカンナに、かえでさん。
「あら、カンナ。いつまでやってるの?さっさとやっつけちゃいなさい!」
料理はそのあとでゆっくりとでも言った顔。
その言葉にカンナ。
「とりゃあ!」
と、一撃で用心棒をKO。
食べ物がかかると一層強いね、カンナ(笑)
庭では相手の槍を奪い、見事な動きを見せるすみれが、
「この私がお相手致しますわ!」
「にゃろう!」
襟巻きの男が踏み出した、次の瞬間。
『パンッ!』
マリアが空に向けて威嚇射撃。
「ご、ごめんなさ~~い!」
一目散に退散。
さすが、泣く子も黙るマリアの銃(笑)
千秋楽ではこのシーンは
すみれに歯が立たない用心棒たち。
すると襟巻きの男が、
「や、やぁまだ先生ーー!!」
と、ここで何と殺陣師の山田先生の名を。
すると上手袖より浪人風の体の山田先生が!
「皆様、ここは私にお任せ下さいまし!」
しーんと静まりかえった空間。
緊迫した空気。
会場にはすみれの槍と山田先生の刀のぶつかり合う音。
そして、気合だけが響いています。
キャストも客席も固唾を飲んで見守る勝負の行方は・・・。
「・・・御免!」
すみれさんの勝利!
頼みの綱の山田先生も帰ってしまった用心棒たちは、
「・・・どうも、すみませんでした。」
と、一礼して退散する。
「あら・・・ちょっとやり過ぎてしまいましたわね。」
と、照れくさそうにすみれ。
「でも・・・もし今の奴らが花組さんに逆恨みをして押しかけたら・・・。」
心配そうな千代春さんにすみれ。
「ご心配はご無用ですわ。今からこのお座敷は、私、神崎すみれが買いきりますわ。」
「ええっ!?」
すみれの言葉に全員驚きの声。
更に続けてすみれ。
「そして、今回の事件の全ての責任は神崎重工が持ちますわ。神崎には・・・その力がありますわ。」
すみれ様、さすがです(*^_^*)
「これで、一件落着ね。」
と、マリア。
「ええ、全部が収まるところに納まって・・・。」
とは、さくら。
「納まったら腹が減った!ってことでメシだ、メシ!」
「カンナ。」
と、かえでさん。
「だぁってぇ~。」
このいつものやりとりに皆、笑顔で和やかな雰囲気。
「あら・・・桜・・・?」
空から舞い落ちて来た白い花びらに手をかざし、すみれ。
皆も桜に目を奪われる。
「・・・今年もいい年になりますように。」
と、かえでさん。
「・・・舞台いっぱいやりたいね!」
「・・・いい笑顔でいたいね。」
「・・・今年もやるで~!」
と、アイリス・レニ・紅蘭。
それぞれ抱負を言う面々。
「今年もお客さんの為に、夢のある舞台を・・・見せて下さいね。」
千代春さんの言葉に、
「・・・はい!」
決意を新たに頷く花組。
「こいつぁ春から・・・・・・。」
威勢の良い千代春の声を合図に、
「演技がいいやぁ!!」
皆で決め!
大団円と相成りまして、ここで幕が下ります。
幕が下りて、会場が少しライトアップされたと同時に嬉しい声がv
「本日は、ご来場頂きありがとでーす!グラッチェ!
わたし、織姫はイタリアの大舞台で客演中なので今回は残念ながらお休みでーす。
・・・ひっぱりだこでーーーす!織姫ファンの皆さん、ごめんなさーい・・・。
でも、新春公演。たーっぷり楽しんでいって下さいね!・・・では、夏のスーパー歌謡ショウでお会いしましょう!チャオ!」
織姫さん、イタリアに客演の為に里帰りしてたんですね。
夏にお会い出来るのを楽しみにしています☆
織姫さんの挨拶終了後、下手より三味線を弾きながら琴音さん、合わせて太鼓を叩きながら親方が登場。
「はい、どうも~!珍しい組み合わせですね。」
「新ユニットですね。」
「ついに親方が薔薇組に・・・。」
「いや、入ってない入ってない!」
即否定の親方(笑)
「皆さん覚えてらっしゃいますでしょうか?去年の夏、浪曲師の東中軒雲国斎さん!私あの方に惚れ込みまして・・・どうもお弟子さんは取らない方らしいんですけど『弟子にして下さい』って言ったらあっさり『いいよ』って(笑)弟子入りさせてもらったんですよ!で、「東中軒あそこく斎」という名前を頂きました (笑)」
「どんな字なんですか?」
「適当に当てて下さい。私が「あそこく斎」だから・・・そうですね、あなたは「どこもく斎」ですか。」
「どこもく斎ですか(^_^;)」
「ところで・・・薔薇組といえば妄想劇団!妄想には全部出てますね。覚えてますか?去年の『海神別荘』!あの二枚目のマリアさんが・・・!
と、マリアさんと言えばさっき楽屋でフラフラしてましたよ(笑)舞台で酒飲むってのは結構酔いが回るんですよ。」
「暑いですからね、舞台の上。」
「そうそう。それはいいとして、怪人デベソ!あのマリアさんが!誰も予想していませんでした!私たちも予想してませんでした!え~、では・・・『怪人デベソのテーマ』を・・・。」
三味線を弾き始める琴音さん。
「♪デデデデベソ、デデデベソ!デデデデベソ、デデデベソ!かーいーじーんデベソのお出ましだ!
はい!皆さんご一緒に!」
これを3フレーズくらい会場と合唱。
「どうも、ありがとうございました~!」
ここで新ユニット再び下手より退場(笑)
ここまで一幕終了です。