『並んだ影』加山×かえで(3)(08/11月作成)

*お題「今、何してる?」、「もう少しだけここに」のSSの続きです。

「No Title」

「ちょっと加山君、大丈夫?」
珍しく足下がおぼつかない程に呑んだ加山を支えながらかえでが言った。
「大丈夫ですよー。いやぁ、かえでさんの肩をお借り出来るなんて俺ァ幸せだなァ~」
「もう、何言ってるのよ」
こんなに酔った加山を見るのは初めてかもしれない。
いつもは酒が進むほどピッチが上がるかえでを加山が介抱するのだ。
それが今日は立場が逆転していて、何とも新鮮な気がする。
「だって嬉しいじゃないですか。わざわざ俺に会いに紐育に来てくれたんですよ?もう俺は本当幸せ者だ~」
そう破顔の加山。
そこまで喜ばれるとどうしていいか解らなくて、かえでは笑顔で返した。
その顔は紅い。
「あれ?どうしたんですか?かえでさん。顔が赤いですよ?」
「な、何でもないわ」
「本当ですか?熱とかないですか?どれ」
かえでに顔を近付け自分の額をつける加山。
思い掛けない加山の行動にかえでの顔は一層紅くなる。
「だ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
「そうですか?何か熱かった気がしたんですけどね」
『それはあなたの所為よ』と言ってやりたいかえでだったが、そんな事を言おうものなら更に追求されそうな勢いだったので止めた。
「あ。かえでさん、ここ寄って行きましょう!」
セントラルパークに入って行こうとする加山。
「ちょ、ちょっと加山君」
「いいから、いいから」
「仕方ない人ね」
酔っ払いに逆らっても良い事はないので、加山を追うかえで。
「ここ、座って下さい」
そうベンチに指差す加山。
「はい、はい」
言われたままベンチに腰を下ろす。
かえでが座ったのを見届けると、加山はその隣に横たわってかえでの膝に自分の頭を乗せた。
「もうっ、これがしたかったのね」
呆れ顔のかえで。
「はい」
笑顔で返す加山。
そして、続ける。
「…任務の合間によく此処で息抜きをするんですが、此処にいると平穏な時間が流れていてこれを守らなければと再確認するんです。だから、あなたと此処に来たかった」
真剣な顔でそう言った加山に見とれるかえで。
「…酔ってるんじゃなかったの?」
「酔ってますよ。酔っ払いの戯言です」
「じゃあ、酔い覚ましにもう少しだけこうしてる?」
「お願いします」
「分かりました」
そう笑う二人。
街灯の下に浮かぶ並んだ影。
寄り添っているその影は普通の恋人同士と何ら変わりはない。
今だけは、互いの事だけを考えて─。

~あとがき~

一応、加山誕SSです。
構想15分、実作業1時間弱…。
加山は絶対酔った振りとかすると思う(笑
突発的に書いたので、タイトルが思いつきませんでした…( ̄∇ ̄;

title by:dix/恋をした2人のためのお題『並んだ影』

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