「ホント、天気いいねぇ」
目に眩しいほどの青空を見上げながらラチェットにそう言う。
「そうね」
芝生で無邪気に遊んでいる子どもたち見ながらそう言うラチェットの方が嬉しそうだ。
僕としては二人きりになれるところに来たかったというのが本音だけど、こうやって嬉しそうなラチェットの顔を見れたんだから『まぁ、いっか』なんて思 う。
「さっきまで『仕事サボっちゃダメ』なんて言ってたのは誰だったっけ?」
「もう、そういうことを言うのね?」
「はは。でも、来て良かったでしょ?」
「まぁ、ね」
最近、オフが合わなかったから強引にラチェットを連れ出して公園デート。
ベンチに座りながらこうやって二人で何でもない話してってやってることはシアターの中とそんなに変わりはないんだけど、場所が公園ってだけで気分も変 わってくるもんだ。
まぁ、実に僕らしくないデートプランではあるけれど。
「ね、ラチェット」
「何?」
「ちょっと横になっていい?」
「え、別に良いけど?」
「じゃ、失礼して」
僕はラチェットの膝に自分の頭を乗せた。
「…わざわざ断ると思ったら、こういうこと」
膝枕だと思ってはいなかったらしいラチェットが呆れ顔で言う。
「うん。こういうこと。たまにはこういうのも良いと思わない?」
「…そうかもしれないわね」
恥ずかしそうに僕の顔を覗き込んでラチェットが言った。
「はは。ありがと」
ああ、でもこうしてラチェットを見上げるって感覚も何だか新鮮だな。
僕はラチェットの顔を引き寄せて掠め取るように唇を奪った。
「ちょっ、ちょっとサニー。な、何するのよ?!他にも人がいるのよ?!」
いきなりの僕の行動に動揺してラチェットが言った。
「うん。だから一瞬だったでしょ?」
「そういう問題じゃなくて」
「ラチェットがキスしたそうな顔してたからさ」
「ひ、人の所為にしないでよ!」
僕の言葉にラチェットの顔が赤くなった。
出任せに言った事だったが、結構当たってたりしたらしい。
「んーー、でも一瞬だったから物足りなくない?」
「サニーっ」
「もっと欲しくない?」
「うーーー」
「ま、今はしないよ。安心して。そんなことしたらラチェット、僕から離れられなくなっちゃうもんねぇ」
「勝手に言ってれば。もうっ」
顔を赤くしてそう言いながら頬を膨らませて見せた恋人をからかいながら過ごすこんな日もいいななんて思いながらも、帰ったら仕事が山積みだなんて現実も 思い出す。
でも、ま、いっか。
自分が幸せなのが何よりだしね。