「誕生日を祝って貰う方法。」エリグリ(10/08月作成)


グリシーヌは少しばかり閉口していた。
『グリシーヌさん!もうすぐでエリカの誕生日なんですよ!』
嬉しそうにそう言うエリカ。
初めの内は余程楽しみなのだなと微笑ましく思っていた。
だから、笑顔で応えていた。
ところが、もう2週間もこの調子なのだ。
会えば、開口一番にその一言。
笑顔で応えてやらねばと思いながらも、会う度にそう言われて流石のグリシーヌも少し辟易していた。
そんなグリシーヌを呼び止める件の人物。
「グリシーヌさん!」
その声に、思わず眉間に皺の寄るグリシーヌ。
ため息を吐いた後、振り返りつい言ってしまう。
「分かっておる!そなたの誕生日なのであろう?!」
つい語調が強くなってしまい、ハッと口を押さえる。
「…………」
その勢いに驚いたようにグリシーヌの顔を見るエリカ。
「…その、すまぬ」
咄嗟とはいえ大人げないことをしてしまったと反省しながら、グリシーヌが謝る。
「グリシーヌさん…」
俯くエリカ。
声もどことなく沈んでいるように感じる。
「エリカ…」
本当にすまないとグリシーヌがエリカの肩に手を置こうとした瞬間。
顔を上げて、勢いよくグリシーヌに抱きつくエリカ。
「?!」
反射的に抱き留めるグリシーヌ。
「そうなんですよ!今日、エリカの誕生日なんですよ!」
嬉しそうに笑ってエリカが言う。
「そ、そうであったな」
毎日言われるからかえって意識していなかったが、今日が誕生日当日だということを言われて改めて気付く。
「流石、グリシーヌさんですね!え?プレゼントですか?そんな、いいですよー。でも、折角のプリンをお断りするなんてそんな勿体ない事エリカには無理ですー」
そう天然にプレゼントを要求するエリカに呆れながらも、それもエリカ故かとグリシーヌから笑みが零れる。
「折角のそなたの誕生日だ。好きなだけ食すと良い」
グリシーヌのその言葉にエリカの目が輝く。
「本当ですか?!」
「ああ」
頷いたグリシーヌに再び抱きつくエリカ。
「ありがとうございます!エリカ、大感激です!」
再びエリカを受け止めながら、苦笑するグリシーヌ。
「いちいち大袈裟なのだ。そなたは」
「そうですか?嬉しい時には正直なのが一番ですよ」
「そうではあるが」
「誕生日に大好きなプリンを大好きなグリシーヌさんと一緒に食べられるなんて、エリカは幸せ者です」
満面の笑みでそう言ったエリカに妙に照れ臭くてグリシーヌの顔が紅く染まる。
「ほ、本当に大袈裟だな。そなたは」
「グリシーヌさん、顔が紅いですよ?」
「そ、そなたの気の所為だ」
そう指摘されてますます顔を紅くするグリシーヌ。
パタパタと手で顔を扇いで誤魔化すと、エリカの方に向き直って言った。
「エリカ、誕生日おめでとう」
「はい!ありがとうございます!」
嬉しそうに頷くエリカ。
その笑顔にグリシーヌも自然と笑顔になって。
これから、カフェに行ってエリカが幸せそうにプリンを食べるのを見つめながら、自分も満たされた気持ちになるのだろうと思う。
そして、プリンを食べ過ぎたエリカを呆れ顔で介抱する自分の姿も想像して、ため息を吐いたのだった─。
 
 

~あとがき~

エリカ誕。エリグリでしたー。
エリカはそういうアピールが上手そうというか。
仕方ないなって、思わせるのが上手い気がします。
グリはそこに流されていってしまう訳ですよ(爆
そこが天然なのか策なのかで大分違いますが、エリカが本気になったらグリは太刀打ち出来ないですね。きっと(笑
ロベとはまた違った感じに敵わないと思います。
エリカ、お誕生日おめでとう!
と、いうことで。

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