楽して生きようなどとは思っていなかったが、自分が置かれたその場所はあまりに極端過ぎやしないだろうか。
「すっかり慣れてしまったけどね」
そう独り言ちて周囲の安全を確認する。
花組や奏組などの実戦部隊ほど霊力はないが、敵を感知できる程度に霊力はある。
どうやら雑踏に紛れて襲われる事もなさそうだ。
そう安堵の息を漏らした瞬間。
後方からぽんと肩を叩かれてハッとなる。
「…油断してました。いつからいらっしゃってたんです?隊長」
素直にそう観念すると途端に彼の人の気配が俺の周囲を包んだ。
「今来たところだ。首尾は上々そうだな、宍戸」
「あなたのお陰で自信を失いそうですけどね」
「その程度の自信なら無い方がいいぞ~?」
「ま、そりゃそうですね」
息を吐いてから飄々と返してみせると、いつもの人懐っこい笑顔で返された。
とても敵いそうにない人だ。