咲き誇る桜の美しさに目を細める。
それは国境を越えてこの紐育の地で見るからこそ一層美しく、目を奪われるのかもしれない。
「綺麗ですね、昴さん…」
その美しい様に感動して目を潤ませながらダイアナが言う。
本当に涙脆いなと苦笑しながら指でダイアナの目尻に浮かぶ涙を拭い取る昴。
「…ああ。君と一緒に見られて良かった」
「昴さんのお生まれになった所もこのように美しい桜が見られるのですか?」
「そうだね…。もう随分と帰っていないが、これよりも多くの桜が一斉に咲き乱れる様は見事なものだ」
故郷の桜を思い浮かべながら昴の口元が穏やかに上がったのを見てダイアナの目が更に輝く。
「…いつか、昴さんとご一緒に…」
ダイアナのその言葉に同意する代わりに昴は小さく微笑んだ。