期待をしていた訳では決してないのに、どうにも浮き足立っていけない。
ともすれば、緩んでくる口元を抑えて昌平から手渡された包みを開ける。
中には本が数冊…それも全て色本だ。
当の昌平はというと本を手に恐らく神妙な顔になっている僕を見て何やら笑いを浮かべている。
「良いだろ?それ」
「確かにええどすけど、これが誕生日に贈るもんどすか?」
昌平らしいと言えばらしいが、誕生日にこれは情調も何もあったものではない。
「何でぃ、気に入らなかったのか?」
「誕生日覚えてくれはってるだけマシなんやろね…」
大袈裟にため息を吐いてみせると拗ねた様に昌平がそっぽを向いて言った。
「おめぇが喜ぶもんがこれしか思いつかなくてよ…」
その一言に思わず吹き出す。
「ふふっ。何やの?それで色本にしたん?」
「わ、悪ぃかよっ」
「そういう事やったらしゃあないどす。おおきに」
笑いを堪えながらそう礼を言うと、「すまねぇな」と呟いてぎゅっと抱きしめられた。
それだけで僕は満足だ。