その手の動きが巧い訳でも慣れている訳でもなく、それなのに。
何故にこうにも熱を掻き立てられるのだろう。
熱を吐き出した後、ぼんやりと昌平を見つめながらそんな事を思う。
「触られるんがええんやろか…」
自分ではない誰かに触れられているという事実に躰が興奮を覚えるのだろうか。
「何でぃ?」
独り言を聞き返されて「何でも無い」と言い返し、昌平の手をまじまじと見てみる。
ごつくて筋張った如何にも男らしい手だ。
「間違っても女の手には見えへんどすなぁ…」
頭を振ってそう言うと「当たり前だろうが。さっきから何を言ってるんでぃ」と呆れ顔をされた。
「こっちの話どす」
あくまで切り返し思考を続ける。
女だと思い込んでる訳ではないと確認して、今度は昌平の顔を見つめる。
当然、女には見えない。
のど仏もしっかり出ている。
声も低い。
何より、男の匂いがする。
「気持ち悪ぃな!ったく」
じろじろ見られていけすかないのか眉根を寄せた昌平を見て、改めて思うのは。
「ああ、つまり僕は。気持ちええからしてるんやね」
至極単純なその答えに意味などは無い。そこに意味など求めてはいけないのだ。
「楽しんだもん勝ちどすなぁ…」
そう独り言ちたものの、自分に言い聞かせているように感じるのは何故だろう。
「まぁ、ええか」
難しいことはまた考えることにして、再び昌平に体重を預けた─。