「あー…暇だ」
ごろごろと寝返りを打ちながら昌平が言えば。
「暇どすねぇ…」
同じ様にごろごろとしながら世海が返す。
「いきなり連休になるとどうにも出来ねぇな」
「判っていれば温泉でも行けたんどすけど…」
そう二人同時にため息を吐く。
「あー、でも時間勿体ねぇからとりあえず外出てみっか!」
勢いよく起き上がると昌平は雑然とした自分の身の回りから大きい鞄を取り出して箪笥から下着類を取り出しがさごそと鞄に詰めている。
「?何してはるの?」
「良いから!おめぇも支度しろよ。出掛けるぜ?」
「出掛けるて何処に?」
身を起こして首を傾げる世海に旅行鞄を差し出す昌平。
「さぁ?」
「はぁ?」
「とにかく出掛けようじゃねぇか。駅まで行って適当に汽車乗って握り飯でも食いながら考えようぜ。何処で降りようってな」
突拍子もない昌平の案に口をぽかんと開けた後、思わず吹き出す世海。
「ふ、ふふっ。何やの?それ」
「で。行くのか?行かねぇのか?」
その質問に鞄を受け取って。
「そない無鉄砲な計画、僕しか付き合う奴居らへん思うし。一緒に行きますわ」
「ああ。さっさと支度して出掛けようじゃねぇか」
「へぇへぇ。笙さんに伝えたら出掛けましょ」
鞄に一泊分の荷物だけを詰めると、二人は上機嫌に部屋を後にしたのだった。