陽に透けたその鮮やかな髪の色を見て音子が屈託ない笑顔で言った。
「ルイスさんの髪、とても綺麗です…」
思い掛けないその言葉に一瞬言葉を詰まらせてからルイスがいつもの様に微笑んで返す。
「…ありがとうございます。その様な事を言われる事もそうないので少し驚きました」
「そうなんですか?」
不思議そうにルイスの顔を見つめる音子に眉根を下げ、独り言ちる様にルイスが答える。
「昔…返り血で染まったと言われた事はありますが…」
「え…?」
ルイスの言葉に音子の表情が硬いものへと変わる。
「ああ。詰まらない事を言ってしまってすみません」
「いえ…」
(怖がらせてしまった様ですね…)
「ルイスさん、あの…!」
意を決した様にルイスの手を取り、ぎゅっと握る音子。
「音子さん?」
「わ、私はさっきルイスさんの髪がお日様の光に透けた時に思わず見とれてしまって、色づいてる紅葉の様だって思いました。きっとこれからも、紅葉を見る度にルイスさんを思い出すと思います」
「………」
顔を真っ赤にして一生懸命に言葉を紡ぐ音子に愛しさが募る。
思わず音子を抱き締めるルイス。
「あ、あのっ…?!」
「…すみません。少しだけよろしいですか?込み上げる想いを抑えきれないのです」
(…本当にあなたは。私を甘やかして止まないですね)
ため息を吐くとルイスは腕の中の存在に目を細めた。