「雅はん、どないしはったん?」
難しい顔をして譜面を見ている雅はんに声を掛ける。
「本居さん。…この曲の此処の解釈が解らなくて…」
ため息を吐いたその表情に思わず見いる。
「折角、皆さんについて行ける様になって来たのに…」
気が付けば。
落ち込んでいる雅はんの髪に指先で触れていた。
「本居さん…?」
呼ばれてハッとなって手を離す。
「お、落ち込んでる時には頭とか撫でへん?」
苦しい言い訳に笑顔を作る。
「ふふ、そうですね。ありがとうございます。おかげで少し元気が出ました」
雅はんの笑顔にホッとしつつ指先に触れた髪の柔らかさを反芻して顔が熱くなる。
…また触れたいなぁ。