公園で噴水をボンヤリと見つめるジェミニを見つけた。
「どうした?」
僕の声に振り返ると苦笑して。
「何か気持ち良さそうだなと思って。入っちゃダメですよね?」
「当然だろう?」
僕の返事に少し落胆した様子を見せる。
「…最近暑いからな」
「はい。だから、つい…。入らないから大丈夫ですよ?」
「そんなに入りたかったのかい?」
もう一度確認すると「はい…」と小さく頷いてみせる。
その様子に妙に申し訳無いような気持ちになってジェミニの頬に指を伸ばしてそっと撫でる。
「昴さん?」
「…今度の休みに避暑に川にでも連れて行こう」
僕の言葉に目を輝かせるジェミニ。
「ホントですか?!」
「ああ。だから、噴水に飛び込むのは我慢出来るな?」
「はい!昴さんとお出掛けなんて嬉しすぎて噴水に飛び込まない事くらいどうって事ないです!」
満面の笑みでそう頷いて休みの予定に思いを馳せているジェミニにはもう僕の声は届いていないかもしれない。
でも、それを見つめるのも満更悪くはない。