不意に首筋に触れてきた指に思わず体が強張る。
「…どうした?アタシはまだ何もしちゃいないぜ?」
僕を挑発する様に言ったロベリアに溜息を吐いて返す。
「…君があまりにも僕に触れようとするから条件反射だ」
僕のその言葉にフンと鼻を鳴らしてからロベリアが今度は頬に指を伸ばしてくる。
「じゃあ、逃げればいいじゃないか。アンタなら簡単に避けられるだろ?なのに、避けない。今だってそうだ。どうしてだ?昴」
口角を上げて耳元でそう囁かれて顔の温度が上がってくる。
「避けさせないじゃないか、君は」
「アンタが避けないだけだろ?…何だ?アタシを甘やかしているのか?それとも」
何かを言い掛けた所で言葉を止めたロベリアに耳朶を甘咬みされ思わず息を漏らす。
「…っ何が、言いたい?」
「言いたいのはアンタの方だろう?昴」
甘い声で囁かれるだけで気が遠くなりそうになる。
「僕が?」
「ああ。アタシを甘やかして、つけ上がらせて。アタシをどうしたいんだ?」
「………」
その声に思わずロベリアの服を掴む。
「…君の声は狡い。その声で囁かれると昴は何も言えなくなってしまう…」
「へぇ。それは初めて聞いたよ。アンタをその気にさせる事が出来るなら、アタシの声も満更でもないね。じゃあ、教えてくれよ。…どうして、逃げないんだ?昴」
ごく至近距離で響くその声。
酷く優しく響くその声に目を閉じて言葉を紡ぎ出す。
「…君から逃げる理由が見つからない。昴は…君と居る事を心地好いと思っている」
「…心地好いだけか?アタシが嫌いか?」
その質問に首を振るとロベリアは笑って僕の髪を撫でて。
「それで充分だ。アタシがアンタに触れれば良い」
そして、唇を重ねた。