「誕生日おめでとう、メル君」
日付が変わる瞬間にメルを後ろから抱き竦め大神が言った。
「…ありがとうございます」
照れと嬉しさが混じった表情でメルが微笑んで返す。
「今年も一番に言えて嬉しいよ」
そう得意げな顔をした大神に思わず吹き出す。
「ふふ、誰と競っているんです?」
「シー君かな」
声に少し真剣な表情が混じっている大神の手を笑いながらメルがそっと握る。
「確かに大神さんとお付き合いする前はシーが一番に言ってくれてましたけど、張り合うものですか?」
「そりゃあ、張り合うよ。譲れないし、真っ先に言いたいじゃないか」
半ば拗ねた様に言った大神にメルの頬が紅く染まる。
「では、また来年もシーと勝負ですか?」
「うん。この先もずっとね」
メルの髪にキスを落とし微笑む大神の穏やかな声に嬉しくなる。
「はい…。大神さんのお誕生日も一番にお祝いさせて下さいね」
恥ずかしさを堪えてそう言うと振り返って大神の首に手を回すメル。
「うん。勿論」
笑って、キスを交わした。